2019.12.16
  • インタビュー
これは正面からやっていこうとする挑戦的なものかもしれないですね
今年(2019年)11月11日渋谷WWWで行われたワンマンでは、雨宮未來が大きく見えた。小柄な彼女だが、驚くべきオーラを纏いつつ、会場を支配するかのような存在感を示していたのだ。筆者がこれまでに出会った中で、オンステージとオフステージでの“大きさ”のギャップを最も感じたのはカイリー・ミノーグだが、雨宮未來はそれに匹敵するぐらいだった。 その屈託のない向日葵のような笑顔は相変わらずだったが、そこには、あくまで自然体だが、あたかも表情をコントロールしながら”演じて"いるかのような味わいが仄かに感じられ、笑顔を含む喜怒哀楽の表出は”表現"へと昇華されていたかのようだった。 梶原パセリちゃんも、もはや後ろで支えるというより、雨宮未來と並び立つ両輪のひとつとして躍動。忙しく機材を操作しながらも伸びやかな歌声を響かせ、雨宮未來にも負けず劣らず大きな声援を浴びていた。 あの日NaNoMoRaLは、そんな風に様々な点で進化を遂げていたのだ。 そして11月20日にリリースされたミニアルバム『a zen bou zen』。ワンマンで全て披露され、ナノモラルの"進化"をまざまざと見せつけてくれたこれらの新曲群には、シンプルな音像と、万人に響くメロディやアレンジ、さらには、時にシニカルな視点で世の中を捉えつつ誰しもの心に突き刺さる研ぎ澄まされた詞が、世界の果てまで届けようとするかのような強度を纏って提示されている。 NaNoMoRaLのお二人にお話を伺った。         ウォーリー的な楽しさってありますね(パセリちゃん)   ──まずはお伺いします。渋谷WWWでのワンマンを終え、アフタートークではその映像もご覧になりましたが、それを見た上で率直にいかがですか?    梶原パセリちゃん(以下:パセリちゃん):なんだろう…。率直に言うと「やって良かったな」って思います。ワンマンライブをやるのは結構勇気が要りましたし、僕らにしてはなかなか大きな会場だったので「お客さん来るかな」と不安だったんですが、当日やってみて、その映像を見て、一番に思ったのが「ああ、やって良かったな」でしたね。   ──未來さんはいかがですか?   雨宮未來(以下:未來):そうですね…。私は歌っている時に「楽しそうだね」って言われることが多いんですが、自分の中ではそれがよくわかっていなくて。普段から客観的に見ることがあまりなくて、ライブ映像もあまり見返さないんですよ。   ──以前おっしゃっていましたよね。   未來:そうなんです。なので、アフタートークで映像を見て、「本当だ」って思って(笑)。ワンマンを通してちょっとわかりました。楽しそうにしているんだなって。   ──お二人とも「楽しかった」とおっしゃっていました。もう少し詳細に語っていただくと、それはどんな楽しさですか?   パセリちゃん:終わってみて、思い返してみると「楽しかった」という感じですかね。やっている時はそれどころではなくて、必死になっていたので…。「やって良かった」というのが「楽しかった」に繋がる感じですかね。ただ今回のワンマンでは、ライブ中も「あ、楽しい」ってなる部分はありました。お客さんの顔を見るとみんな楽しそうだったから、多分この会場全体楽しいだろうな、と。そう思うと自分たちも楽しくなっちゃうというか…。   ──それはこれまでにはなかった感覚ですか?   パセリちゃん:いや、あることはあったんですけど…。今回はそれが多かったですね。あと、見返してみると僕もすごい笑ってましたね。   未來:笑ってました。   パセリちゃん:客観的に見ると「この人、めっちゃ楽しそうにやってるわ」って。   ──未來さんはいかがですか?   未來:ワンマンだとお世話になっている方が結構来てくれるじゃないですか。今回はそれがすごく多くて、見つけるのが楽しくて(笑)。   パセリちゃん:ウォーリー的な楽しさ(笑)。   未來:「あ、いる!」「楽しい!」ってなってました。   ──結構、余裕があったんですね。   パセリちゃん:でも言われてみれば、そういうウォーリー的な楽しさってありますね。僕はあまり目が良くないんですが、それでも“見つける”楽しさは結構ありました。特に今回は誰が来るのかあまり把握してなくて、その中で「あの人もいる、この人もいる、ああ、この前ライブ来ていた人だ、この人久しぶりだ」みたいに、顔を見つける楽しさがあったというか…。余裕あったのかなぁ。   未來:もう、いつも通りにしかやっていないので。   パセリちゃん:必死にはやってましたけど、お客さんの顔を見たりといった面では結構リラックスできていたのかなって思いますね。   未來:今までと違うのは曲数ぐらいですかね。   パセリちゃん:そう。本当にいつもと変わらないし、何ならPAさんも照明さんもよく知っている方たちだったので、いつも以上にやりやすかったです。そういう意味では、いつも通りというか、いつもやっているライブの方が緊張することはあるかも。   未來:確かに。   ──でも、直前まで緊張してたって言ってたじゃないですか。   未來:してました。   パセリちゃん:でも、それは毎回です。どのライブも直前までうるさくて、「緊張する緊張する」ってずっと言ってるんですが、ワンマンの日もいつもぐらいでしたね。いつもよりもちょっと少なかったかもしれないです。   ──緊張することも含めて、いつものルーティーンをやったという感じなんですね。   パセリちゃん:前日のサワソニの方が緊張してたかもしれないね。   未來:あ、そうです。前日もライブがあったんですよ。初めての会場で、出たかった会場だったので。上野の水上音楽堂。お誘いいただいて、それが嬉しくて、そっちの方が緊張していたかもしれないです。   ──不思議ですね。ワンマンの方が特別と言えば特別じゃないですか。   パセリちゃん:特別ではあったんですが、ライブ自体に対しては特別という気持ちではなかったかもしれないですね。   未來:会場も広いとも狭いとも思わなくて…。確かに広いんですが、なんかいつもの感じがして全然普通でした。   パセリちゃん:感覚的には、3月に新宿Motionでやったワンマンと同じような感じでしたね。   未來:お客さんとの距離も変わらなかった気がします・   パセリちゃん:そうだね。あまり変わらなかった。   ──でも、MotionからWWWだとすごい飛躍じゃないですか。   パセリちゃん:なんですかね。   未來:それに気づかなくて。発表してから何人かに言われて気づきました。自分たち的にはやりたいライブハウスを選んだだけだったので。   パセリちゃん:僕らからすれば、Motionでのワンマンもすごいし、WWWでのワンマンもすごいと思うので。前はMotionだったのに、という考えにはならなかったんですね。Motionでワンマンする方が大変だったかも…。お客さんもどれぐらい来るのかわからないというのは一緒で、そういう意味では同じような感覚だったと思います。   ──なるほど。で、あの日僕が思ったのは、未來さんがとても大きく見えたことでした。   未來:なんだろう。衣装のおかげかな。   パセリちゃん:違う。“見た目”的なことじゃない。   未來:違う? 器が? なんだろう(笑)。   パセリちゃん:器と言うか、オーラ。   ──そう、オーラが。なんというか、女優みたいな感じがありましたよ。   パセリちゃん:女優だって!   未來:ちょっと出ちゃいました???   ──(笑)。   パセリちゃん:僕、常々思っているんですが、例えばWWWとかそれぐらいの大きさの会場でライブができるようになった人って、もうちょっと大きくなってもいいと思いません?   ──と、いうのは…???   パセリちゃん:見た目が(笑)。昔さいたまスーパーアリーナにミスチルを見に行った時、不公平だなと思ったんですよ。何万という人を集められるのに、体のサイズはあまり変わらないんだと思って。   未來:そうか。小っちゃい。   パセリちゃん:そうそう。なんかそういう薬みたいなのがあって、それを飲んで3メートルぐらいになったら見やすいじゃないですか。そういう特権ができてもいいような気がしますね。武道館でやる人はちょっと大きくなれます、みたいな。だって、ホント粒みたいでしたから、もったいないなと思って。そういう時はチェキ会も一人でやることになるわけじゃないですか。もし1万人ぐらいお客さんがいるとしたら、一人ではちょっと無理ですよね。だから、“分身”できるような仕組みをぜひ作って欲しいですね。   ──例えば会場の規模とか、チケット代とか、で大きさが変わる、と。   パセリちゃん:今の医学だったらできそうじゃないですか。   未來:えぇ!そうなの?   ──AIがライブするようになったとしたら、会場に合わせてサイズを変えて映したりとかって、既にやってるんじゃないですかね。   パセリちゃん:そうなって欲しいなと常日頃思ってます。   ──でも、お二人は会場に合わせて大きく見えましたよ。   パセリちゃん:良かった。   未來:良かった。私は“薬”を使わずにいく!   パセリちゃん:使わずにそれができている、と。   ──武道館に立っても、それに合わせてデカく見えると思います。   パセリちゃん:5メートルぐらいに見えるんじゃない?   未來:見えますかね。後ろとかから登場して。   パセリちゃん:どうする? 未來さんが5メートルぐらい見えるオーラを出していて、僕は何も変わっていなかったら(笑)。   ──(笑)。   未來:怖い怖い。   パセリちゃん:身長差あるわ~、みたいな。オーラで身長差ができて(笑)。   未來:空飛べばいいんですよ。   パセリちゃん:俺は無理。
2019.12.06
  • インタビュー
ここまでやってきた想いが全部入っているので、それを感じていただければ嬉しいです
「和」や「妖怪」をモチーフに独特の世界観を構築してきた“ゑんら”。ほどなく結成2周年を迎えるこのグループに筆者が注目し始めたのは遅まきながらつい最近のことだが、そのコンセプトの妙には驚嘆するばかり。作品タイトルや歌詞やサウンドからアートワークや衣装に至るまで揺るぎないコンセプトを貫きつつも、「和」のテイストの中にロックやEDMを絶妙に溶け込ませ、「怖い」の中に「可愛い」を巧みに忍び込ませるのだ。   例えば、昨年7月リリースの1stアルバム『KEMURI』収録の「キミノセイ」などでは、祭囃子をダビーな重低音へと変換することで、ブラジルのマンギビートやアルゼンチンのデジタル・クンビアにも匹敵するような、鮮やかな“異文化の融合”をものにしている。「和」と同時代的なサウンドの融合が試みられた例はいくつもあるが、これほど滑らかにビートがシンクロするものはなかなか見当たらない。この曲を作曲したのは多くのゑんら作品を手掛ける”ぴあ”。そして、ゑんらの楽曲には緻密なコンセプトに基づく彼女たち自身の意向が反映されているらしい。   そして注目すべきは、そうした変幻自在の楽曲を歌い綴る彼女たちのヴォーカル・ワークだ。時にこぶしを回したり、椎名林檎ばりに巻き舌を交えながら、情感溢れる唱法によって、高品質の楽曲に一層豊かな色彩を施している。   聞けば、完全セルフプロデュースとのこと。作詞や作曲への関与といった制作面だけでなく、打ち合わせや連絡などの運営面も自らの手で行っているそうだ。もちろん苦労も多いだろうが、そのぶん自身の意図が納得のいく形で作品に投影されているのではないだろうか。   楽曲制作やアートワークなどクリエイティブな領域で感性を迸らせる木乃伊みさと。マネージメントやマーケティングなど運営面を主導する滝口ひかり。ソロでのメディア出演などを通してある種の“広報活動”を推進する滝口きらら。それぞれの得意分野でその手腕を振るいつつ、同時に各々の個性を様々な形で調和させながら、ゑんらのアーティスティックな表現へと昇華させているようだ。   そうした感性は、このたびリリースされる2ndアルバム『UKIYO』でも存分に発揮されている。「和」のイメージや音色。「お化け」や「妖怪」をモチーフにした歌詞。サウンドも、哀愁を帯びながら時に爽快感も漂わせるエモーショナルなロックを基調に、「和」と「ディスコ」のミクスチャー、歌い上げるバラード、そして賑やかなアイドル楽曲、さらには小気味良いスカコアや躍動するダンスホールや妖艶なワルツといった要素も垣間見られ…。もちろん、木乃伊みさとが手掛ける趣向を凝らしたアートワークも極めて魅力的だ。   12月10日ツアーファイナルとなる新宿BLAZE公演、そして12月11日アルバム『UKIYO』リリースを目前に控えた、ゑんらの3人にお話を伺った。           やりたいことはできてるなっていう感じはします(ひかり)     ――「ゑんら」ってどういうコンセプトのグループなんですか?   木乃伊みさと(以下:みさと):私たちは…えーっと何だっけ?   滝口ひかり(以下:ひかり):大丈夫? 嘘でしょ???   みさと:(資料を見ながら)何て出てますか…?   滝口きらら(以下:きらら):ちょっと待って。誰が考えたんだっけ…???   みさと:私かな、多分。やばいやばい。   ――この辺も文字になるかもしれないですが…(笑)。   ひかり:全然大丈夫です(笑)。   みさと:あぁ。これ私だと思う。そんな気がしてきた。えーっと。ゑんらは完全セルフプロデュースのグループで、自分たちで色々やってます。自由自在に色んな形になるっていう意味で「煙」って言っていて…。「煙々羅」っていう煙の妖怪から取って「ゑんら」と名付けました。   ひかり:「煙のように変幻自在」っていうのは色んなところで言わせていただいてるんですが、実際何をやってるかというと、今年の1月に『ゑんら絵巻』っていう舞台を自分たちの主催で行なったり、地域のお祭りでライブをやらせていただいたり、お神輿を担いだり、正月にお餅つき大会をやったり、ライブももちろんなんですが、そういうイベント事にも力を入れたりしていて、色んなことにチャレンジしているグループです。   ――きららさん、何か付け加えることはありますか?   きらら:それで全てです。アハハ(笑)。   ――煙ですから、枠にはまらず様々な形になるということで、音源を出してライブをやるだけではなく、お祭りなどに参加して地域と関わったり、あと、アパレルとタイアップしたりもしてますよね。   きらら:はい、やってます。   ――本当に色んなことをやられていますよね。「枠にはまらない」ということは、今は「和」とか「怖い」といったイメージでやられていますが今後ガラッと変わってしまうこともあるんですか?   みさと:まあ、基本の枠組みはあまり変わらないと思います。この新しいアルバムで打ち出してるコンセプトでもあるんですが「怖かわいい」といったジャンルを私たちで発信していけたらいいなと思っていて…。私たち自身和風な感じの妖怪やお化けをコンセプトに曲を作ることが多いので、そういうものをあまり知らない方々にも刺さってくれたらいいなって思っていますね。   ――なるほど。その辺はある意味こだわってやってられているわけですね。で、みさとさんとひかりさんはdropにいらっしゃったんですよね?   みさと・ひかり:はい。   ――こういったことをやりたいからdropを卒業されたんですか?   ひかり:そういうわけではなくて…。辞める時はそうではないですね。   ――「自分たち自身で何かやりたい」みたいな想いはdropの時からあったんですか?   ひかり:こういった感じでやりたいなっていうのは個々にはあったと思います。でも、それで辞めたわけではないですね。   ――今さら蒸し返すのもなんですが、では、dropを辞めた理由はなんだったんですか?   ひかり:あぁ~。でも、「自分の人生なので自分で道を切り開きたかった」って言ってますね。取材ではそんな風に言わせていただいてます。自分でやりたいという想いが強くなったって感じです。   みさと:そうですね…。前のグループが初めての芸能界だったんですが、当時からイラストとかジャケットとかも書いていて…。で、自分の中でそうした制作に対する意欲が強くなり過ぎちゃって、でも事務所に所属してるとそれが難しいじゃないですか。演者をやりながらそうした創作活動はできないってその時は思っていたので、事務所と相談して「自分でやりたい」っていう気持ちを伝えて、辞めることになりましたね。   ――で、そこにきららさんが加わったわけですが、「和」「怖い」といったコンセプトは、そこから3人で話し合ってできたということですか?   ひかり:もともと少しアーティスト寄りな感じにしたいっていうのはみんな思ってましたね。でも、私ときららはあまりクリエイター気質ではないので、その辺は全部みさとにお任せして、コンセプトをまとめてもらってる感じです。   きらら:そうですね。私ほんとにセンス無いので…。   みさと:そんなことないでしょ。   きらら:いやいやいや。ジャケットの絵もそうですし、アー写のコンセプトとかも全部みさみさ(=みさと)がやってくれてるんですよ。なので、そういうコンセプトは全部みさみさにお任せしてます。   みさと:でも、最初はそうだったんですけど、最近は曲の内容とかみんなでアイディア出し合ってますね。やっぱり、自分たちでやったことのないことをやるっていう“手探り作業”なので、みんなで力を合わせて。最近になって、ようやくちょっと形になってきたのかなって思います。   ――いや~、めっちゃ形になってるじゃないですか。   ひかり:確かにやりたいことはできてるなっていう感じはします。このグループになってからはすごく。   ――で、完全にセルフプロデュースということですよね?   一同:はい。   みさと:周りの方に助けられながらやってます。   ひかり:協力してもらって。   ――セルフプロデュースになってもうすぐ2年ですよね。来年2月で。いかがですか?   ひかり:う~ん。まぁでも、もう2年目なので、まだバタバタすることとかはあるんですが、一応慣れてはきたかなって…。ある程度この世界の常識とか、例えば、メールの返し方とか。最初はほんとに、例えば「お世話になっております」とかっていう挨拶から始めて、っていうことも知らなかったので。私の父が経営者なので、メールの書き方とか一から教えてもらって。最初はあたふたしてましたが最近はスムーズにできるようにはなってきました。   ――ビジネスマナーやスキルを学ばれたわけですね。   ひかり:はい。   ――みさとさんはクリエイティブ担当で、ひかりさんはビジネス関連を担当して、で、きららさんはおしゃべりが得意なんですよね?   一同:アハハハ。   みさと:いつものあれやる?   ひかり:うんうん。   みさと:私が作り手。グッズを作ったりとか、ジャケットを作ったりとかしていて。   ひかり:で、私が打ち合わせしたりメールを送ったりといった運営の部分をやってます。   きらら:で、私がパンを買いに行くっていう…。   ――アハハ(笑)。何ですか? 三段落ちですか? まぁ、うまく文章にしますね。   ひかり:お願いします(笑)。   ――パンを買いに行く、と。それはどんなパンを?   ひかり:どんなパン!(笑)   きらら:アハハハ。コンビニで2人が好きなものを買って、サポートしてます。   ひかり:(笑)。でも実際は、私たちの手が回らない事務的なこととか、印刷物を作ったりとかそういうのをやってますよ。             「海外に目を向けたいね」みたいなのはデビュー当初から3人で話してました(きらら)   ――「和」って、どなたかの趣味だったりするんですか?   ひかり:まあ、趣味っていうか、コンセプトでして…。   ――皆さんお好きなんですか?   ひかり:三味線の音とか好きですよ。和楽器バンドも好きで聴いてます。そういうのカッコいいなって思いますね。   みさと:あと、インパクトがあるじゃないですか。「和」をコンセプトにすることによって外国人の方にも知ってもらえるんじゃないかと思ったり…。意外とアイドルにはいそうでいないんですよね、「和」のコンセプトって。   ひかり:確かに。「和」っぽい衣装のグループは沢山いると思いますが、楽曲でここまで「和」のコンセプトを打ち出している例は少ないと思います。   ――「どういうところを狙っていこう」「海外での可能性がありそうだからこうしよう」みたいな話し合いはされたんですか?   きらら:「海外に目を向けたいね」みたいなのはデビュー当初から3人で話してました。曲調も「和」っぽいものが多いですし、「和」っぽい音を入れたり、アルバム・タイトルとかも…。外国人の方に引っかかるようなものにしてますね。   ――そういう意味では、来年3月にタイでワンマンライブをやられますよね?   きらら:はい、やります。   ――ワンマンってすごいですね。タイって最近よくフェスとかあってアイドルさんが結構行ってますよね。これまでに海外でやられたことは?   ひかり:台湾で一度。   きらら:去年の6月ですね。   ――昨年6月というと、デビューしてからそんなに経っていないですね。   ひかり:すぐですね。   ――どうでした? 現地の方々の反応って。   きらら:台湾の方って日本のアイドル好きなんだなって感じました。台湾にアイドルはいないのかなぁ?   みさと:いるとは思うけど。   きらら:TIFってあるじゃないですか。東京の。TIFにも行くって言ってる台湾の方が結構いて、やはりアイドル好きな方多いんだなと思いました。   ――台湾でも日本のアイドルのフェスとかイベントありますよね。   みさと:多分あちらは今がブームみたいな感じらしくて。   きらら:今キテる。   ――「和」のコンセプトに対する反応みたいなとかありました?   きらら:その時は曲が4曲しかなかったんですよ。   ひかり:そっか。まあでも、まだデビューして4カ月だったので…。   みさと:コンセプトもまだ浸透してなかったんですよね。MVもまだなかったし…。   きらら:いつも来てくださるファンもあまりわかってない、みたいな。「どうやって乗ろうかな」って考えてる段階みたいな感じで…。でも、みんな「リンネ転生」って曲で一番騒いでたかなぁ。   ひかり・みさと:うん。   みさと:なので、次のタイでのワンマンライブでは、まだ私たちを知らないタイのファンの方々にも広がって欲しいですね。でも、ちょっと未知の場所なので、これからどうやって発信すればいいか考えてるところです。   ――でも、皆さんのそのコンセプト、曲とか衣装とか絶対受けると思いますよ。   一同:うぁ、ありがとうございます。   ――あと、アニメとタイアップしたいとのことですが…。   一同:はい。   ――アニメがお好きなんですか?   きらら:アニメはみさみさがすごい好きで。   ――オープニング曲とかエンディング曲とか狙ってる、と?   みさと:そうですね。夢ですけど…。   ――具体的に動いたりしてるんですか?   みさと:はい、まあ。来年あたりは本格的に狙いにいきたいなって。   きらら:そういったタイアップを狙って曲を作ったりとかしてるんですけどね。まぁ、なかなか…。   ひかり:今頑張ってる最中です。   ――でも、そういう意味では色々とビジネス的な面でもきっちり考えられてるんですね。   ひかり:そうですね。   ――例えば、皆さんで会議をしたりするんですか?   ひかり:はい。3人でよくミーティングします。   ――ビジネスミーティング、というかマーケティング会議みたいな。   ひかり:そうですね。3人だけだとまだまだ未知な部分も沢山あるので、いろんな方に支えられて、助言とかしていただいて、でも私たちの芯はブレないようにしながら、色んな案を取り入れて進めていってますね。   ――今後はどういう風に攻めてくんですか?   みさと:私たち、Zepp Tokyoに立ちたいっていう目標を掲げているので、そこに立つために今活動をしているんですよ。その会議もやっていて、ちゃんと逆算して色々とやっていこうって話になり、ちょっと道筋が固まってきたかな、みたいな感じなので…。早く発表できるように頑張りたいなって思います。   ――まだ言えないとは思うんですが、どれぐらいの時期にZepp Tokyoでやろうっていうのを具体的に決めている、と。   ひかり:はい。大体のプランは。まだ言えないですけど。   ――なるほどね。僕が取材した方には「武道館でやりたい」っていう人が結構いるんですが、皆さんはZepp Tokyo。というと、ちょっと控えめじゃないですか。武道館と比べると。結構現実的なところを見てるのかなっていう感じがします。   きらら:確かにそうですよね。   ひかり:最初に3人で話し合った時に「武道館だと誰もが言ってるよね」なみたいな意見は出てましたね。   みさと:武道館ってほんとにできたらすごいですけど、今の私たちにはあまり現実味がないじゃないですか。それこそ、Zeppに立ってから「武道館」って言いたいんですよ。   ひかり:そうそうそう。   みさと:その時にはみんな想像できると思います。   きらら:現実的になってくると思いますね。   ひかり:例えば、私たちがZeppに立った時に「重大発表があります」って言って、「次、私たちが目指すところは武道館です」って言うとカッコいいなって思うんですけど、今「武道館」って言っても「なんか言ってるよね」みたいな感じで終わっちゃうから、それが嫌だったんですよね。   ――より現実的に戦略を立ててるって感じですよね。言っちゃおうと思えば「武道館」なんて誰でも言えるわけですけど、でも皆さんとしては、しっかりと戦略を立てて、ちゃんとした目標として掲げてると。   ひかり:そうですね。   ――素晴らしい運営組織ですね!   ひかり:ありがとうございます!(笑)
2019.11.20
  • インタビュー
プロデュースする時の私と、ステージで歌っている時の私と、作曲している時の私で違う気がします
謎はますます深まるばかり。   巷で話題の"NEO・エレポップ・ガール"加納エミリ。歌うのはもちろん作詞作曲編曲プロデュース、トラック制作から振付け、さらにはマネージメントからレーベル主宰まで、何でも自らやってしまうこの才女は、前回の取材で明らかになったように、レトロなサウンドを、その“ダサさ”や“隙”を愛でつつ、そこに新しい音を加えながら“カッコいい音楽”として今の世に再定義する。まぁ、そうした手法やコンセプトは特別目新しいものではなく、そんなことを試みるアーティストはこれまでも少なからずいたであろうし、今も数多いることだろう。だが、これほどのセンスで、これほど瑞々しくレトロ・サウンドを再構築する例はなかなか見られない。一体どうすればこんなマジックを起こせるのだろうか?   そんな謎を解明すべく今回の取材に臨んだのだが、お話を聞くと謎はますます深まるばかり。どこか謙遜するような、そしてはにかむような素振りによって、こちらの問い掛けはスルリと交わされるかのようで、そんな受け答えに、ついには「もしかしたら“マルチな才能を発揮するアイドル”というフィクションに取り込まれているのではないか?」と疑ってしまうまでとなり…。   というわけで、いよいよ初アルバム『GREENPOP』をリリースする加納エミリにお話しを伺った。“頑固さ”と“テキトー”の狭間に生じる隙? パフォーマー/コンポーザー/プロデューサーの三位一体? 謎は明らかとなったのか???       令和の時代になって“ただ昔の音楽をやってる”だけじゃ面白くないと思うんですよね   ――最初にインタビューさせていただいてからもうすぐ一年になろうとしていますが、あの頃とは状況も大きく変わりましたよね?   加納:そんなことないです。まだ全然売れてないですよ。   ――"グイグイきてる"感はないですか?   加納:全然まだです。   ――でも、街で声掛けられたりすることもあるんじゃないですか?   加納:それはないです。さすがに。他のアイドルさんの現場とかでは話しかけられることもありますけど、街歩いてて「加納さんですか?」ってことはないです。全然。   ――でも、知名度が上がってきたのを実感しているんじゃないですか?   加納:そうですねぇ…実感…。こうやって色んな媒体に取材をしていただいたりとか、タワーレコードさんの企画「NO MUSIC, NO IDOL?」に起用していただいたりとか。後は、地元の北海道新聞さんにも取り上げていただいたり…。そうやってちょっとずつお仕事をいただいてるなという実感はあるんですが、まだそんなに…。まだまだ頑張る人なんで(笑)。   ――でも、北海道新聞はで大きいですよね?   加納:あれから北海道の方のフォロワーが増えましたね。   ――親戚縁者の方々から連絡が来たんじゃないですか?   加納:おばあちゃんが泣いてたらしくて。   ーーそうなんですね。紙面も大きかったですよね。   加納:かなり大きかったです。半面でカラー写真も掲載していただいて。まさかのあれだけ大きな記事を書いただけるなんて…。   ――でも、先ほども、そして先日観たライブでも「もっと売れたいんで」っていうことをおっしゃってました。では、今後どのようにやっていこうと思っているんですか?   加納:色々あるんですけど…。今回アルバムを全国流通でリリースするんですが、その一作だけでガーンと行くよりも、今回のアルバムで次のステップアップに繋がるような土台を作ることができればいいな、と思ってます。まだまだ時間が掛かるとは思うんですけどね。ゆくゆくはもっと大きな会場でワンマンライブをやりたいですし、もっと広い市場をターゲットにできるよう来年はさらに頑張りたいと思っています。   ――そういう意味では、今回のアルバムがどう受け入れられるか、っていうのはとても重要ですよね。で、さっそくアルバムのことをお伺いしたいんですが、前回の取材で、加納さんがどういう想いで、どういうコンセプトで、どういう戦略であのサウンドを構築しているのか、をお聞きしました。でもじゃあ、どうしてあれだけのセンスのものを作ることができるのか、についてはまだやはり謎があって…。あれだけのものはコンセプトや戦略を立ててもそうそうできるものではないですよ。   加納:ありがとうございます。   ――やはり天才ですよね。   加納:いや、天才ではないです。   ――どうですか? あれから1年近く経って、ご自分の作品に対して客観的にどう思いますか?   加納:そうですね。我ながら今回のアルバムは良い曲しか入ってないと思っていますし、自分のソングライティング能力は一定のラインはクリアしてるかなっていう印象はあるんですけど、でも世の中にはもっと素晴らしい曲を作る人がいるし、それこそホントの天才がいるので、やはり自分は正攻法の音楽っていうより、ちょっと道が外れた、違う角度から攻めていける音楽を作らないと、正攻法の人たちには勝てない、戦いに行けないなって思いますね。でも、ちゃんとキャッチーなものは作りたいと思うので、それは今後の課題かなって思います。   ――これからもっとキャッチ―なものも、ということですね。   加納:そうですね。マニアックなものもすごいいいかなと思うんですが、マニアックな成分は残しておきながらも、ちゃんとJ-POPとして売りに出せるような作品をこれからどんどん作っていきたいと思います。   ――アルバムとしていいものができたとおっしゃいましたが、それは天才的にスーッと出たものですか? それとも生みの苦しみがありました?   加納:アルバムには結構前に作った曲とかも入ってるので、曲によりますね。すぐに作れた曲もあれば、結構悩んで何年かかかった曲もありますし。   ――加納さんの音楽は"ニューオーダー歌謡”と謳われ、音色のみならず、空気感というかそういったものを見事に描き出していますが、それってどうやって作ってるんですか? 例えば、「ごめんね」のニュー・オーダーっぽいスネアのフィルインとか、あれは実際ご自分で「タタタッタッタタ」って打ち込んだりしてるんですか?   加納:基本的にドラムは自分で打ち込んでるんですが、「ごめんね」のニュー・オーダーっぽい部分に関してはホントに無意識で、自分では「これは全然セーフだろう」と思ってたんですよ。でも、みんなに「ニュー・オーダー」って言われたので、「そんな反応されるんだ」ってその時初めて分かったんですよね。まあ、もともと曲のリファレンスに関してはあまりごまかしたいとは思ってなくて、逆に元ネタが分かった方が面白くない?という認識なので、これからもそのスタイルは貫きたいです。変にごまかして、曲自体がクオリティー下がっちゃうよりは、先代の名曲をちょっともじって、自分なりのメロディーを付けて面白くしたいな、みたいな感覚がありますね。   -Spotifyで加納さんが作られたプレイリストを拝見すると、参照元を隠さないような“いかにも”なものが並んでいますが、その中に結構新しめのものも入ってますよね。リゾとかタイラー・ザ・クリエイターとか。タイラー・ザ・クリエイターは個人的に大好きなんですが…。   加納:いいですよね。   ――その辺の新しいものはチェックしてますか?   加納:してますね。でも、新しいものって最近好きな曲が減ってきてるので…。タイラーとか自分が好きなやつしか聴かないんですけど…。まあ、ちょこちょこと聴いていますね。   ――例えば最近ピンときたもので何かありますか?   加納:最近だとSIRUPとかすごい好きで。あとは……う~ん…。曲単位では好きですけど、アーティスト自体っていうのはあんまりなくて…。   ――それもある意味“今っぽい”聴き方ですよね。曲単位って。我慢してアルバム通して聴くって感じでもないんですもんね。今の若い方は。   加納:そうですよね。   ーーでも、そんな中“アルバム”を出すわけですよ。完成してみて、いかがですか?   加納:結構大変でしたね。一筋縄ではいかなかったです。   ――どんなところが?   加納:お渡ししたプロモ盤と、販売するアルバムの音が違うんですよ…。   ――え???   加納:プロモ盤はエンジニアさんがミックスやマスタリングをやってくださったんですが、販売する盤は全部私がミックスをやっていて…。マスタリングはエンジニアさんにお願いしたんですが…。   ――そうなんですね。   加納:そうなんです。だから結構音が違う…。   ――ミックスまでやられたんですね。   加納:初めてしっかりミックスをやりました。   ――どういう流れでそうなったんですか?   加納:私自身、ミックスとかマスタリングをお願いするのが初めてで、アルバム制作中はずっとスタジオで立ち会ってたんですが、ミックスでどこまでクオリティーが上がって、マスタリングでどういうことをするのか、っていうのが、その時の自分はイマイチ分かってなかったんですよね。マスタリングまで終わって、お家の環境で聴いたら「これはちょっと違うな」ってなって、2日間ぐらい悩んで、「やっぱりこれは違う」と思ったので、大人の方々に頭下げて「やり直したいです」って言って、結局いろんなことがあって、私がミックスをすることになって…。そこから2~3日ぐらい寝る時間を削ってミックスした、って感じです。   ――どういった点が「ちょっと違うな」と思ったんですか?   加納:プロモ盤は、ちょっと音が“レトロチック”すぎたっていうか…。アナログ・メディアはカセット・テープを出すので、それらに関しては別に問題ないと思うんですけど、CDとかストリーミングとかで聴くとやっぱり音の古さっていうのが目立ってしまって。それでやり直しました。   ――それは加納さんのこだわりでもありますよね。“レトロなもの”を“レトロなもの”としてやってる人は多いと思いますが、それってある意味ありふれた手法ではあります。でも加納さんの場合、前回の取材でもちょっと出ましたが、そこに新しい音が混ざっていて音質も良いと感じていたので…。やはりそこはこだわりなんですかね?   加納:そうですね。自分が“年代物”の音楽をやっていて、そこで音質がそちらに寄り過ぎてしまうのはよくないな、と。令和の時代になって“ただ昔の音楽をやってる”だけじゃ面白くないと思うんですよね。昔の要素も入れつつ現代にちゃんと合わせた音を入れないと今の時代では通用しないかな、とは思っていて…。それで、どうしてもミックスを変えたいなと思ったんですよ。ホントに申し訳なかったんですけど、「すみません。時間もお金も掛けていただいて申し訳ないんですけど…」って。   ――できあがったものには満足しましたか?   加納:まあ、“自分ミックス”なので…。初めてミックスをしたので、他の方に比べたらクオリティーは落ちるかもしれないですが、でも自分の今の最大限の力で作ったので…。今はまだ手作り感があってもいいかな、って思います。   ――なるほど。あまり綺麗にレトロに仕上げ過ぎない、オーバープロデュースしない、って感じですかね。   加納:そうですね。そのとおりです。   ――今後はミックスも自分でやろうと?   加納:いや。軽いミックスだったらできると思うんですが、やはりその道の方にお願いした方がクオリティーは高いので、これからもミキサーの方と一緒に作っていきたいな、とは思います。   ――でも、一度ご自身でやってると次からは意思を伝えやすくなるんじゃないですかね。   加納:そうですね。「こういう風にしてください」って具体的なことがもっと言えると思うので、今回はめっちゃ勉強になりましたね。    
2019.11.12
  • インタビュー
「新たな名曲の誕生」って感じです!
RYUTistは今、変わろうとしている。   それを最も象徴する事象は“「ラリリレル」からの解放”であろう。これまでのRYUTistのほぼ全てのライブでラストを飾ってきた曲「ラリリレル」。今よりもぐっとアイドル色の濃いこの最初期の楽曲は、今年7月21日地元新潟で行われた結成8周年記念公演「RYUTist HOME LIVE ~8th Anniversary Majimeに恋して~」では最後から2番目に歌われ、以降のステージでも必ずしも最終曲という役割を担うことはなくなった。また、8月11日に東京で行われた「RYUTist HOME LIVE ~8th Anniversary~ @SHIBUYA CLUB QUATTRO」では、“変化”を改めて示すかのごとく、1曲目というこれまでとは対照的なポジションが与えられた。   同コンサートでは、メンバーの五十嵐夢羽・佐藤乃々子が講師を務める新潟アーティストスクールの生徒を迎えて歌い踊る場面が2曲ほどあった。また、地元新潟でのCM映像なども流され、さらには、横山実郁がTeNYテレビ新潟『想い出喫茶ヒッソリー。』で共演するカンケとスネオヘアーを交えて、同番組をステージ上で再現するようなコーナーもあった。   これはごく個人的な所感に過ぎないが、これまでのRYUTistには、東京での活動時に見せる“東京の顔”と地元新潟で見せる“新潟の顔”とをどこか使い分けているような印象があった。だが、この東京での8周年ライブでは、そんな“東京の顔”と“新潟の顔”を分け隔てなく曝け出し、あたかも、新潟と東京を往復して活動するだけでなく、全国を、そしてその先を見据えてRYUTistの全てを誇示しようとするかのように思えた。それは、セットリストや演出といった表面上のことのみならず、彼女たちのパフォーマンスそのものにも感じられたことではあるが…。少なくとも新たな一歩を踏み出し、更なるステップアップを図ろうとしていることは間違いないだろう。   そうした“変化”は、最新シングル「きっと、はじまりの季節」にも顕著だ。   まずは、先日ツイッター上で“バズった”手の込んだアートワーク。印刷が施された2枚の透明フィルムをジャケットの上に重ねる仕様となっており、またそのモチーフは透明なCD盤面にも使用されている。それらが醸し出す重層的・立体的な色彩感は極めてアーティスティックなものだ。さらには、ジャケットにメンバーの姿が写っていないことも大きな変化である。これまでも、シルエットになったり、イラストになったり、極めて小さくなったりしたことはあったが、ついに本人たちの姿が消えてしまったのだ。   もちろん楽曲そのものにも“変化”が見て取れる。現在KIRINJIの一員としても活躍する作曲家/ギタリスト、弓木英梨乃が作詞作曲した「きっと、はじまりの季節」は、「黄昏のダイアリー」「センシティブサイン」という直近のシングルにも共通するが、特定のジャンルやスタイルへと傾くものではなく、“RYUTistの王道”あるいは“ポップスの王道”を創り上げようとするかのような気概に満ちたものだ。こうした一連のシングルを聴くにつけ、RYUTistが既に新たなモードに入っていることがはっきりと伺える。   一方カップリングの2曲では、新たなスタイル/ジャンルに挑戦した新機軸が示されている。「Never let me back」を作曲した東新レゾナントは、かつてSchtein&Longerという名義でEspeciaの楽曲制作を手掛けていた人物。そのサウンドはEspeciaを彷彿とさせるアーバン・ファンクとなっており、RYUTistの面々もこれまでにない表情でこのグルーヴ・ナンバーを歌っている。そして、Magic, Drums & Loveのメンバーとしても活動するシンガーソングライター、℃-want you!のカバーである「愛のナンバー」は、フラれた男の心情を綴ったやさぐれたバラード。いずれの曲においても、これまでにない“新たな一歩”を果敢に踏み出すRYUTistの姿が見て取れる。   まさに“はじまりの季節”を迎えているRYUTist。佐藤乃々子、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁の4人にニューシングルのことについてたっぷりと語っていただいた。           ちょっとお洒落な感じで「おお」ってなります(むうたん)   ――前回のシングル「センシティブサイン」では、“演じるRYUTistを聴かせる”といったことをおっしゃっていましたが、今回はどんなシングルでしょうか?   一同:う~ん。   ともちぃ:なんだろう…。“演じている”ことには変わりないですね。   みくちゃん:そうですね。今回も“演じる”っていう部分ではあんまり変わっていないと思います。パワーアップはしていますが…。あ! “等身大のRYUTist”と“パワーアップした女優”って感じです!   のんの:カップリングの2曲はどちらも男性目線で、しかも結構年齢が上の方のことを歌っているので、大人な曲も歌えるようになったのかなって思います。   むうたん:私たち、男性目線の曲を歌うのは初めてじゃない?   のんの:あんまりないよね。   ともちぃ:男性目線はあんまりない。   ――つまり演じてるわけですよね。   一同:演じてますね。   みくちゃん:あと、RYUTistは失恋の曲もあまりないんです。「大切なあなたがいなくなった」っていう雰囲気の曲はあるんですけど…。でも、今回のカップリング2曲は“ザ失恋”。特に「Never let me back」は。   ――夢羽さんはいかがですか?   むうたん:う~ん…。でも大人な感じはするよね。   のんの:うん、大人な感じ。   むうたん:この前「きっと、はじまりの季節」のMVが公開されたんですが、それがすごく大人っぽいって皆さんに言っていただいています。   ――MV拝見しましたが、「これは誰?」って思いました!(笑)   一同:アハハ。   のんの:そんなに(笑)。   ――はい(笑)。友さんは?   ともちぃ:「新たな名曲の誕生」って感じです!   ――おぉ! でも、まさにそうですよね。   ともちぃ:更新し続けてます!   ――では、まずはジャケットからいきましょう。これまた素敵ですよね~。   一同:ありがとうございます。   ――っていうか、皆さんのお姿が出てないですよね?   みくちゃん:そうなんです。初めてです。   ともちぃ:人間がいない…。   むうたん:だんだん小さくなっていったよね。   ――あぁ、ちょっとずつ小さくなってはいきましたが、ついに出なくなったと。   むうたん:ついに出なくなりました(笑)。   ――これはどういうことですか?   ともちぃ:わからないです(笑)。   ――もう“アイドルじゃない宣言”みたいな???   ともちぃ:全然そういうわけじゃないです。   みくちゃん:顔が写ってないことで、アイドルを普段聴かない人も手に取りやすいんじゃないかと思います。こんなおしゃれなジャケットだと「何だろう?」って手に取ってくださる方もいるんじゃないかな、と。   ――すごい戦略ですね! ジャケットに顔が出てなくて、で、実際に見たら「こんなお美しい方々が歌ってた!」みたいな。   一同:フゥ~ッ!!!   ともちぃ:それはどうかな…。   ――(笑)。で、お金もかかってますよね、これ。   みくちゃん:お金かかってるみたいです。   ともちぃ:かかってるよぉ。   ――メンバーカラーが随所に入ってますよね。これを作られたのが多田明日香さん。グラフィックデザイナーであり、スカーフのブランドをたちあげてらっしゃる方ですよね。   一同:そうです。   —-多田さんにはお会いしましたか?   ともちぃ:実際にはお会いしてないんです…。ミュージックビデオでみんなが使っているスカーフは、多田さんにお借りしました。   ――夢羽さんはいかがですか? でもやっぱり顔を出したい、とか?   むうたん:顔は出さなくても大丈夫です。   ――音楽で勝負っていう感じですか?   むうたん:手に取りやすいジャケットだなって思いました。ちょっとお洒落な感じで「おお」ってなります。   ――夢羽さんも最近すっかりお洒落になって。   むうたん:えっ???   ――夢羽さんのインスタをチェックしたら素敵な私服がいっぱい載っていたので。   むうたん:インスタやってないですよ!   一同:アハハハ(笑)。   ――今ちょっと適当に言っちゃいました(笑)。   ともちぃ:これ、ジャケットの上にフィルムが2枚重なってるんです。   のんの:ジャケットとこの透明のフィルムで3層になってるんです。「どこのアーティストさんのお洒落なCDだ?」って感じです。