2020.09.28
  • インタビュー
宇野友恵(RYUTist)|「もっとああしたいこうしたい」っていう欲が今もうバーッて出てきています
RYUTistメンバー個別インタビュー。ラストとなる第4弾は宇野友恵をお迎えした。   筆者は彼女の歌声と歌いっぷりが大好きである。日本で最も好きな女性ヴォーカリストの一人に数えるほどだ。ひっくり返ったり、よじれたり、力んだり、といった“危うさ”を感じさせつつも、それらが実に豊かな表情や色彩を生み、さらには波打つような“うねり”を生じさせながら、聴き手を心地好く翻弄する。その快感は、歌い手としてのタイプは全く異なるが、カエターノ・ヴェローゾやジョイスらに比するものと言ってしまいたい。まぁ、このブラジルの大御所たちは聴き手を掌で転がすような熟練の技を誇るのだが、宇野友恵はまだその域には達してはいないだろう。だが、その独特の“危うさ”や“儚さ”によって聴き手の心を掴み、その歌声の“うねり”の中に引き込み、そして翻弄するのだ。ある意味これも“掌で転がしている”ということなのかもしれない…。    RYUTistではヴォーカルリーダーを務め、その仕事ぶりはインタビューでも語ってくれているが、グループにおける歌の支柱となっている。そして、自身にも高いハードルを課し、真摯な態度で研鑽を積み、高い表現力を獲得している。   その感性もなかなかユニークだ。好きな歌手に土岐麻子、カネコアヤノ、柴田聡子といった面々を挙げるセンスの良さ。また、読書家でもある彼女は、伊坂幸太郎の「殺し屋」シリーズや堂場瞬一の『垂れ込み 警視庁追跡捜査係』といった小説を好む。そして「めだまを潰すのが好き」という謎の嗜好もあり…(かつては不思議ちゃんキャラだったようだ)。   さらには、純朴で温厚な性格のRYUTistメンバーの中にあって、わずかに陰を感じさせるような部分もあり、時にハッとするような鋭いことを言い放つ一面もある。   一筋縄ではいかない側面が幾重にも重なり、重層的な魅力を形成している。それが声に滲み出ているからこそ、彼女の歌に耳を、そして心を奪われるのだろう。   そんな彼女にお話を伺った。歌についてはたっぷりと、そして幼少期のことや読書についても、さらにはメンバーについてや、自身の「これから」についてなども…。   最後にひとつ付け加えておきたい。彼女は、グループ内では比較的「物言う」タイプではあるのだが、同時にとても心優しい人である。このインタビューでも、言葉の端々にそれを感じ取ることができた。そして、それは歌にも表れている。   『ファルセット』での彼女の歌いっぷりに改めて耳を傾けながら、ぜひご一読いただきたい。         歌うことが怖くなくなりました     ーー友さんとはシリアスなお話をしたいなと思ってるんです。   宇野友恵(以下:宇野):大丈夫かなぁ。   ーー最初から難しい質問をしようかなと。   宇野:頑張ります!   ーーで、最初の質問はこれなんですが、友さん、歌うの楽しいですか?    宇野:楽しいです。今は。   ーー“今は”楽しいですか。    宇野:はい。   ーー楽しくない時期もありました?    宇野:全然楽しくない時もありました。   ーーキツい時もありましたか。   宇野:結構いろんなところで言ってる気がするんですが、一度声が出づらくなっちゃって、歌いづらくなった時期があったんですよ。裏返っちゃったりとか、飛び出しちゃったりとか、そういうことが多くなって、辛かったことはあります。2016年の夏ぐらいですかね。   ーーその話はどこかで読んだことがあります。で、今いろんな映像が残っていますから、それらを観てちょっと検証してみたんですよ。2011年、13年、14年、15年ぐらいの映像では結構ストレートに歌われてて、2016年10月の古町どんどんの映像を見ると、変わってきたなっていう感じがして…。   宇野:そうですね。そこらへんから考えて歌うようになってしまって…。それまでは歌うことに対して何も抵抗なく、何も考えないで感覚で歌えちゃってたところがあったんですが、2015年の「神話」のレコーディングの頃から優しい歌い方、ふんわりした歌い方が多くなってきて…。それまでの自分はストレートなハッキリした歌い方が得意で、それ以外の歌い方を知らなかったんですが、一回そこで考えて歌うようになったらだんだん歌えなくなっちゃって、「もう歌うの怖い」って思うようになって…。2016年夏あたりがどん底でした。   ーー結構考えちゃう性格ですか?    宇野:そういう印象を持たれやすいんですけど、意外とそんなことはなくて…。でも、嫌なことは引きずるタイプではあります。切り替えるのが苦手で…。   ーー(佐藤)乃々子さんは「次の日になったらもう忘れる」ということをおっしゃってました。「悩みはない」って。かなりしつこく訊いたんですが、全然出てこなくて(笑)。   宇野:「今が楽しければいい」って言ってましたね。すごくいい言葉だなと思いました。   ーーでも、友さんは結構考えちゃって、それが悪い方向に行く場合もあったりするわけですか?    宇野:そうですね。その頃は嫌なことがあるとずっと頭の中でぐるぐるしちゃって、どんどん悪循環になっていって、それも歌に影響してたんじゃないかなって思います。今は「あんまり考えないようにする」「寝たら忘れる」っていうのを徹底してます。   ーー今はそういう風になれたわけですね。   宇野:そうです。その頃に比べるとだいぶ自分の考え方も変わった気がします。   ーーその辺がどう変わってきたのかを探ろうと思っているんですが、まず言っておきたいのが、僕、友さんの歌が大好きなんですよ。   宇野:本当ですか?    ーーちょいちょいTwitterなどで呟いてるんですけど、日本で一番好きな女性ヴォーカリストの一人です。   宇野:本当ですか? どれぐらいいる中でですか?    ーー5~6人ぐらいですかね。例えば、矢野顕子さんとか、PSY・SのCHAKAさんとか、ACOさんとか、トルネード竜巻の名嘉真祈子さんとかすごく好きなんですが…。   宇野:その中に入れていただいてるんですか?   ーー入れてます。   宇野:うれしい!   ーーどこが好きかっていうと、まだいい言葉が見つかってないんですが、歌が“波打つ”というか、メビウスの輪のように“よじれる”というか。それによって色彩感とか質感が流れるように変わっていくというか…。それって、ある意味声がひっくり返ることから生まれたもののような気がするんです。なので、子供の頃のストレートな唱法から、柔らかいものを求められて思い悩んで、いろいろやろうとして声がひっくり返っちゃった、というところから出来上がった唱法じゃないか、と。それがすごくいい形になってきたんだなと思ってるんですが…。   宇野:うれしいな。ありがとうございます!   ーーそうなんです。でも、その“唱法”は、あまり考えないようにしたらそういう風になってきたってことですか? それともいろいろ試行錯誤されたんですか?    宇野:いろいろやりました。普通に歌うこともままならないっていう時は、本当に歌うのが怖くなって、ライブで歌うのが怖くて、どうしよう、ってなってたんですが…。(プロデューサーの)安部さんのアドバイスだったんですが「なんでもいいから出せ」「ぶっ壊して出しちゃえ」って言われて、それで一段階気持ち的に抜け出せた感覚があって…。全部で5段階ぐらいあるんですけど(笑)。   ーーぜひ聞きたいです。その5段階。まずは「なんでもいいから出せ」ってことで、とにかく歌えることにはなったと。   宇野:はい。で、2段階目は、その頃、永井ルイさんにヴォーカルトレーニングをしていただいたんですが、「いっぱい息を吸ってから歌おう」ってアドバイスをいただいて。それまでは、本当に何も考えなくても歌えてたので、息を吸うとか考えなくてもできてたんですが、息を吸うことを意識してをやるようにしたら、ちょっと歌いやすくなったんです。   ーー息を沢山吸うと声が出しやすくなるんですか?    宇野:緊張して声が出にくくなってるので、1回深呼吸をするような感じで息を吸ってから歌うっていう、本当に基本的なことなんですけどね。   ーー喉とか気道とかに一度空気を通しておいて柔らかくする、みたいなそんな感じなんですかね?    宇野:そうですね。それが2段階目でした。あ、5段階もなかったかもしれない。それが確か2017年ぐらいだったかな。「口笛吹いて」のサビ前の「変わらないから」のところとか全然出なくて…。レコーディングで「ここは友恵さんに歌って欲しい」って(作曲した)KOJI obaさんに言っていただいて、そこの歌割りをいただいたんですが、レコーディングの時にすごく頑張ってなんとか録れたんです。ライブで「口笛吹いて」を披露してからも「ライブでやるごとにちょっとずつでいいから直していこう」みたいな感じで、私の歌に関してスタッフさんも結構気にかけてくださってたんですけど、それでレッスンの時に「息を吸ってやるようにしたらどう?」みたいな教えていただいたんです。それをやったら「口笛吹いて」の自分の一番気にしてたパートでがツンって歌えるようになって、それが2段階目の成長です。   ーーその後は?    宇野:その後は、良くなったり下がっちゃったりと波があったんですが、すごい最近なんですけど、『ファルセット』のレコーディング期間中に、自分で10分ぐらいの発声練習を作ったんです。今までやってきた発声練習をいろいろと組み込んで。それを毎日やって、歌い方を矯正したんです。基礎が大事だと思ったので。『ファルセット』のレコーディングをやってくたびに、どんどん歌うことに抵抗がなくなって楽しくなっているのを感じて、最後にレコーディングしたのが「春にゆびきり」なんですけど、この曲は一番いいテイクが録れました。一番納得して、しかも歌を楽しむことができたレコーディングだったと思います。   ーー僕の認識では、高校を卒業するぐらいに何かスランプといいますか、思い悩んだ時期があったとのことですが…。それって『日本海夕日ライン』が出るぐらいの頃ですか?    宇野:その前後ぐらいです。   ーーで、その後は歌い方を変えて、新しい技を修得して、そこから絶好調になってきたかなって印象だったんですけど、本当に納得したのは『ファルセット』で、ってことですか?    宇野:すごい最近です。メンバーも含めていろんな人を参考にして歌のまねをしたりとかして、やっと自分の歌いやすい方法を見つけたというか…。いろいろネットで調べたりとかもしました。   ーーネットで調べたりとかしたんですか?    宇野:ネットに上がってるんです。発声の仕方とか。   ーーあぁ、動画とかご覧になったわけですね。そういった情報を集めて、ご自分のオリジナルの基礎練習法というか発声練習法を作って、その成果が『ファルセット』で遺憾なく発揮されていると。   宇野:そうです。でもまだまだです。   ーー友さんの目標や理想は高いですから、ご自分ではまだまだだと思われてると思うんですが、でも、ある一つの到達点には達したみたいな感覚はありますか?    宇野:そうですね。歌うことが怖くなくなりました。    
2020.09.18
  • インタビュー
横山実郁(RYUTist)|常にRYUTistのために何かできることをしようって考えてます
RYUTistメンバー個別インタビュー。第3弾は横山実郁をお迎えした。   RYUTistの"可愛い"担当である。いや、言うまでもないが、もちろんそれだけではない。極めてレベルの高いパフォーマンス・スキルを誇るRYUTistの中では、決して突出しているわけではないが、歌においてもダンスにおいても、彼女がRYUTist楽曲の魅力的な再現に大きく貢献していることは明らかだ。   さらに加えて、トーク力。例えば、前回の五十嵐夢羽の個別インタビューで話題となったあの“赤羽MC”も、横山実郁の的確なツッコミがなければ成立しなかっただろう。また、インタビュー本文の冒頭でも述べているとおり、取材時は本当に彼女の機転に助けられている。また、“イジることができる”という“隙”は、場盛り上げるためにはとても頼りになる。彼女がいるからこそ話が円滑に回っていくのだ。   さらには、コミュニケーション力。本人は「人見知り」だと言うが、“RYUTist”である時の横山実郁は違う。その花咲くような笑顔と「グイグイ行く」社交性、そして様々な人を引き寄せる“愛され”力。彼女がいることで人脈が大きく広がったのは間違いない。また、今やRYUTistの“広報担当”として大いに発揮している発信力。唯一個人でTwitterをやっているメンバーとして、日々“告知”や情報発信を欠かさない。   いやはや、本当にスペックが高い。しかしながら、インタビューをお読みいただければおわかりいただけると思うが、彼女はこれらを全て否定する。「いやいや、そんなことないです」「全然です」「そんなことないですって」と。どこまでも謙虚で、自分に自信が持てないようで、それゆえに不断の努力によってそれを補おうとし、そのことによってさらにスペックが上がるのだ。   彼女はRYUTist唯一の途中から加入したメンバーである。2014年3月にまずは“横山実郁”としてソロデビューを果たし、2016年4月にRYUTistに加入。それによりRYUTistは大きく変わった。音楽的にも、パフォーマンス的にも、イメージ的にも。横山実郁の高スペックが直接的に影響を及ぼしている部分も少なくないだろう。もちろんそれ以外の要素もあるだろう。加えて言うなら、横山実郁が引き寄せた「人」や「流れ」や「運」なども大きいのではないだろうか。   そんな彼女にお話を伺った。これだけの高スペックを誇りながら、その影にはやはり苦悩や不安や葛藤があった。それは決して「キャラ的なもの」とか「ストーリー的なもの」ではなく、嘘偽りのない彼女の本心の吐露である。これだけのスペックを誇りながら、謙虚な態度で自分の未熟さを認め、それに真摯に苦悩し、向上しようと努力する。やはり多くの人が魅了されるわけである。               いつもだったら笑って返せるけど、返せないこともたまにあります     ――実郁さんにはいつも助けられてますよ、インタビューの時に。   横山実郁(以下:横山):え? 何でですか?   ――こちらの質問の意図を正確に理解して、きっちりと、しかも率先して答えていただいているので。   横山:いやいや。話すの上手じゃないですよ、でも。   ――RYUTistで一番上手じゃないですか。   横山:そんなことないです。   ――ぐんぐんスキルが上がってきたので、昨今はこちらが弄ばれている感さえありますよ。   横山:そんなことないです。   ――いやいや、軽く捻られてる感じがしますよ。   横山:捻ってないですよ。でも楽しくお話しさせていただいてます。   ――でも、今回は真面目なお話しをしたいと思います。   横山:はい、真面目に。   ――難しいことをお訊きしますよ。   横山:やめてください。そんな答えられないので…。   ――まずはここから行きたいんですが…。2018年9月の最初のインタビューで「メンバーをお互いに紹介していただく」みたいなことをやらせていただきましたが、友さん(宇野友恵)が結構マジなトーンで「本物のバカです」っておっしゃったんですよ。その日、遅刻してきたから、というのもあったと思うんですが、最初は「あ、バカなんだ」って思ってたんですが……でも、実際はめっちゃ頭良いですよね。   横山:良くないんですってば。バカなんですよ。   ――しかも、インタビューを重ねるうちに、どんどん回答のキレが鋭くなり、すごく頭脳明晰だな、って。   横山:全然そんなことないです。バカなんです、本当に。   ――特に昨年11月の「きっと、はじまりの季節」リリース時のインタビューなど、もう素晴らしい回答の連発で。   横山:そうでしたか…?   ――はい。でも、どこか“イジられキャラ”って感じになってるじゃないですか。「打たれ強い」とも言われていて、やはりイジると面白いこと言ってくれたりするので、皆さんもついイジってしまうんだと思いますが、いかがですか? そんなキャラについては…。   横山:本当に皆さんに可愛いがっていただいて、うれしい限りです。   ――どれだけイジられても?   横山:たまに作家さんとかに「実郁ちゃんがイジられるキャラだから、それをきっかけにRYUTistにグィッといけるよ」みたいなことを言っていただいたりするんですが、本当にありがたいなって思う限りで…。まぁ、たま~に傷付くときもありますけど、でも、そんな…。本当にうれしい限りです。愛がなかったらイジってもらえないじゃないですか。石川さんもそうですよね。   ――僕、イジってますかね?   横山:イジってますよ。   ――イジってないと思います(笑)。   横山:イジってますって。いや、うれしい限りです、本当に。   ――乃々子さんにインタビューさせていただいた際に、こう言ってたんですよ。「みくちゃん、意外と傷ついてるかもしれないですね」って。それを聞いていかがですか?   横山:傷ついてないですよ。乃々子さんは優し過ぎる人なので、やっぱりそういうふうに実郁を思ってくれてると思うんですけど…。基本はうれしいなって思いますね。ただ、たま~に、例えば何かできなくて落ち込んでる時にイジられたりすると、いつもだったら笑って返せるけど、返せないこともたまにあります。でも、全然嫌じゃないです。   ――実郁さんがこれからTwitterで何かTweetするたびに、毎回イジりのリプ入れます!   横山:ブロックしますよ、ブロック。うそうそ。   ――(笑)。まぁでも時には傷つくわけですね。   横山:人間なので。   ――で、人見知りなんですよね?   横山:そうですね。   ――僕、“人見知られた”ことがないんですけど、実郁さんに。   横山:仕事モードになればいけるんですよ。スイッチがあって…。仕事で“RYUTistの横山実郁”になる時は結構「イェイイェイ」って感じで誰にでもグイグイ行るんですよね。「嘘でもずっと言ってればそれが本当になる」とか言うじゃないですか。そういう感じで、“演じる”っていうほどではないですけど、自分の中にスイッチみたいなのがあって、それを切り替えれば全然いけます。けど、“横山実郁という人間”に関して言えば、本当に人見知りですね。   ――その人見知りっていうのは、どんなところで出るんですか?   横山:基本、人に喋りかけないです。   ――RYUTistである時にはそれは出ないわけですよね? 私生活のみで…。   横山:はい。学校とかでも喋りかけられるのを待つ方で、だいたい6月くらいまで1人で過ごして、って感じです。   ――それを乗り越えれば大丈夫ですか?   横山:はい。“話しかけてもらうの待ち”っていうのも図々しいですが、話しかけてもらって、友だち関係が築けたら、すごく仲良くなります。   ――じゃあ、もうお友だちは沢山いるわけですよね?   横山:沢山ではないですけど…。大切な友だちはいます。   ――あと、おそらく謙虚さから来るんだと思いますが、時に自信なさげな時がありますよね?   横山:結構見てますね。   ――そりゃ見てますよ。   横山:私、自信ない人間なんですよ。強がってるわけじゃないですけど、普段はちょっと隠してます。   ――そんなにスペックが高いのに?   横山:スペック高くないから自信がないんですよ。本当にそうです。   ――もちろん、歌もダンスもルックスもですが、勘の良さというか頭の良さを感じます。   横山:全然良くないです。先ほどラジオの収録やったんですが、そこでもバカさ加減を発揮して、すごい絞られたところだったんですよ。   ――自分でそういうところも分析してちゃんと理解してるので、やはり頭良いんですよ。   横山:ありがとうございます。そんな…。    
2020.09.17
  • インタビュー
斎藤暉(Star☆T)|性格は大人しいんですが、結構行動的です
    Speak emoにてスタートした、愛知県豊田市のご当地アイドル、Star☆T(スタート)のメンバー全員インタビュー。第9回は斎藤暉(さいとうひかる)をお迎えした。   不思議な魅力を放つ女性である。インタビュー本文でも述べているが、もしかしたらStar☆Tの中でも最もその本質が掴みにくいメンバーかもしれない。一見すると物静かで落ち着いた“クール・ビューティー”。だが、本人は「人見知り」と控えめに言うものの、その実は行動力があり、体育会系で、自分を追い込むような強靭さも持ち合わせている。   英会話に始まり、小中学校の厳しい部活、ダンスやヴォーカルのスクール、大学の授業にサークル、バイトにフルタイムの仕事、そしてもちろんStar☆Tの活動。これらを次々と、そしていくつかは掛け持ちしつつ、「忙しいけど楽しい」と嘯きながら、様々な経験を積み、肉体と精神を鍛え上げてきた。   彼女の生来的な性格とこうした高い経験値が、あの重層的な魅力を築き上げたのだろう。穏やかな大人のイメージが先行するが、その下には幾重にも重なった多様な魅力が存在し、それらが(幾分控えめに)滲み出ているのだ。これは、賑やかな個性派の多いStar☆Tの中では、却って目立つかもしれないレアなキャラクターだ。前へ前へと出ていくような自己顕示欲は少なめだが、そのぶん吸引力が強く、その懐の深さであらゆる人を受け止めてくれそうな母性さえも感じさせる。再び変革期を迎えるStar☆Tにおいて、今後ますますその存在感を高めていくことだろう。   そんな斎藤暉にお話を伺った。常に厳しさと忙しさの中に身を置いてきた彼女の、淡々とした口調で放たれながらも深みと重みのある言葉をじっくりと味わっていただきたい。         全部やりたいことだったので、忙しくても苦じゃなくて楽しくできてました   ――この3月まで大学生で、4月から就職されたんですよね。どんなお仕事をされてるんですか?   斎藤暉(以下:斎藤):事務のお仕事をしてます。   ――差し支えなければ、どういう関係の?   斎藤:大まかに言えばIT系ですかね。   ――今は業務はリモートですか?   斎藤:5月ぐらいまではリモートでやっていました。今はオフィスに行っています。   ――Star☆Tの活動とお仕事の両立は……と言っても、Star☆Tの活動もまだ全開ではないですから、お仕事との両立って感じでもないですよね?   斎藤:そうですね。全然そんな感覚はないですね。   ――でも、これからだんだんお忙しくなってくるんじゃないですか?   斎藤:でも、大学生の時の方が色々やってて忙しかったと思います。日中は大学に行って、夕方からはサークルもやって、バイトもして、Star☆Tの活動もしていたので…。それに比べると、今は日中お仕事に行って、夜は家にいることが多いので、今の方が時間ができるんじゃないかなって思ってます。   ――暉さん、すごく落ち着いた雰囲気ですが、結構アクティブなんですね。   斎藤:そうなんですよね。性格は大人しいんですが、結構行動的です。   ――ちなみに、大学ではサークルって何をやられてたんですか?   斎藤:ダンスをやってました。   ――大学のサークルでダンスを。本気でガッツリやられてたって感じですか?   斎藤:そうですね。割と力を入れてるサークルだったので、練習もたくさんあって本気でやってました。   ――チームを組んでやるわけですよね? だとすれば、そうそう休んだりできない感じですよね?   斎藤:でも、練習が平日だけで土日はなかったので、特にStar☆Tの活動に影響が出ることはなかったです。   ――なるほど。でも、休みはほとんどなかったという感じですよね。   斎藤:でも楽しかったです。全部好きなことをやってたので、楽しくやれました。   ――大学ではどんなことを専攻されてたんですか?   斎藤:異文化間のコミュニケーションを学んでいました。主に、日本とアメリカの文化の差から生じるコミュニケーションの違いみたいなのを。   ――すごいですね。英語とかお得意なんですか?   斎藤:いや、全然できないです。英語は好きなんですけど、勉強するのがあまり好きじゃないので…。   ――でも、そういうこと興味があったんですね。韓国がお好きっていうのはプロフィールに書いてありましたけど、アメリカ文化にも興味があったと。   斎藤:そうですね、ありました。   ――それはどこから来てるんですか? ダンスからですか?   斎藤:小さい頃から英語を習わせてもらってたので、その影響ですね。そこからずっと英語は好きで、そこで「海外の文化ってどんなだろう?」って興味持ったんだと思います。   ――英語を習っていたっていうのは、どんなところで?   斎藤:2歳ぐらいから英会話スクールに通ってました。   ――2歳からですか。   斎藤:そう言うと英語が喋れるみたいに思われるんですけど、全然なんですよ。   ――2歳から通い始めて、どれぐらいまでやられていたんですか?   斎藤:楽しくてずっと続けてました。中学卒業するぐらいまでですかね。   ――同じところでですか?   斎藤:1回変わりました。たしか幼稚園ぐらいの時に。   ――じゃあ、喋れるでしょ!?   斎藤:授業とかも、高校の最初の頃までは全然楽勝でいけてたんですけど、高校に入ってからは英会話スクールにも行ってなくて、勉強もそんな好きじゃなかったので、そこからどんどん落ちていって、普通のレベルになりました。   ――勿体ないというか…。でも謙遜してそう言われてるんですよね?   斎藤:できないんです、本当に。   ――異文化間コミュニケーションを学ばれたとのことですが、具体的にはどんなことを?   斎藤:そうですね。例えば、謝り方の違いで、これは知ってる人も多いと思うんですが、日本人はすぐ謝るのに対して、アメリカの多くの人はすぐには謝らないっていうのを学んで、どうしたら上手くコミュニケーションが取れるか、っていうのをみんなで考えたりしていました。   ――それはよく言われますもんね。アメリカは訴訟国家であり、非を認めてしまうとそこで色んなことが不利に働いてしまうので、なかなか謝らない、と。日本人はとりあえずその場は丸く収めようとしちゃいますけど…。そういったことを研究されたんですね。というと、アメリカには行かれたんですか?   斎藤:いや、行ってないんです。大学生のうちに1回は留学したいと思ってたんですが、なかなかタイミングがなくて行けなかったんです…。   ――Star☆Tの活動があるとなかなか行けないですよね。さらにはバイトもされてたんですよね? 何をされてたんですか?   斎藤:飲食店のホールスタッフをやってました。   ――それはずっとですか?   斎藤:ずっとですけど、色んなところへ変わりながら。でも、ずっとホールをやってましたね。   ――大学の授業があって、ダンスサークルをやって、バイトもやって、Star☆Tもやって…。改めて、めっちゃ忙しいですね。忙しいはお好きですか?   斎藤:好きですね。全然苦じゃなくて。それが嫌なことだったらもちろん嫌だったと思うんですけど、全部やりたいことだったので、忙しくても苦じゃなくて楽しくできてました。   ――ということは、大学卒業されて、Star☆Tの活動だけじゃ物足りないから就職をされたと???   斎藤:いや、そういうわけじゃないです(笑)。   ――選択肢としては色々あるわけじゃないですか。Star☆Tに専念することもできたと思いますし、逆に言えばStar☆Tを辞めて会社に専念することもあり得たかもしれないですけど、並行してやるという道を選んだのは…?   斎藤:自分の中でもう決まってたんですよ。大学も、おばあちゃんとおじいちゃんに学費を出してもらっていたので、ちゃんと就職しなきゃなっていうのはあって…。ちゃんと就職して「大学に行ったことは無駄になってない」ってことをちゃんと示したかったというか…。お礼という意味も込めてちゃんと就職はしようと思っていました。Star☆Tに関しては、入った頃は「大学生のうちだけかな」と思ってたんですけど、私自身まだ全然やり切れてないと思っているので、仕事と並行して続けられるのであれば続けたいなと思ってました。   ――会社の人たちは、Star☆Tの活動のことは知ってるんですか?   斎藤:特には言ってないです。   ――今の世の中、ネットとか見ればすぐわかっちゃうんじゃないですか?   斎藤:どうなんですかね。大学の時も、本当に仲良い友だち数人にしか言ってなかったんですが、サークルやってた仲間にも全然バレてなくて。   ――大学の普通のお友達ならあんまりそういうことを話題にしなければわからないかもしれないですけど、ダンスサークルの仲間だと、ある程度そういう方面のことはわかるんじゃないですか? 暉さんのダンスを見ると「これは素人じゃない」みたいな感じでバレるでしょ???   斎藤:いつか薄々気付かれるのかなと思ってたんですけど、全然そんなことなくて。気づかれないで卒業しました。   ――暉さん、ダンス教室も通われてたんでしたよね?   斎藤:そうですね。高校の時から3年弱ぐらい。   ――CR2ですか?   斎藤:はい。   ――CR2に通っていたことからもサークルの仲間から気づかれそうな気もしますが、意外と分からないもんなんですね。   斎藤:豊田市出身の子が周りに多かったらバレてたかもしれないですけど、大学なので色んなところから来てるんですよね。それもあって気づかれなかったのかなって思います。   ――大学は名古屋だったとか?   斎藤:そうです。    
2020.08.31
  • インタビュー
サンダルテレフォン|楽曲のことばかり言っていますが、メンバーの歌声も楽しみつつ聴いて欲しいなって思います
今、最も勢いに乗るアイドルグループであることは間違いない。   その不思議だがつい口に出したくなるグループ名。そして少しつまみ聴きするだけで、イントロから聴く者の心をわし摑みにし、やがてズブズブと沼にハメていく楽曲。そしてすぐさま、“獲物”を虜にするその強いビジュアルやバラバラな個性。   そんな“強力なトラップ”は、コロナ禍においてもその力を大いに発揮している。アイドル、引いては広くエンタメ業界が極めて厳しい逆風にさらされる中、このユニークな名前のグループは、ぐんぐんその名を浸透させ、多方面で「見つかって」きている。   この、ある意味“奇跡”とも言うべき現象が巻き起こっている要因は、やはりその楽曲にあるのだろう。コロナ禍という“物理的な接触”を不可とする状況下では、あらゆる障壁を越えて届けることのできる“音楽”というものは、極めて有効な頼もしい媒体となる。図らずもこのような状況を予見していたかのような「鳴らない電話で心を繋ぐ」というコンセプトが、今その効力を存分に発揮しているのだ。   その魅力的な楽曲は、総じてダンスミュージックと言えるものだが、その振り幅は思いのほか広い。レトロなディスコをモチーフにしたものから、今様のシティポップ、スタイリッシュなハウス調、さらにはデジタルロックやミクスチャーロックを想起させるようなものまで。そのいずれもが、主旋律はもちろん、イントロから間奏やエンディングまで、実にきめ細やかに設計されており、多くの人の心に響く優れた楽曲となっている。   そしてこの度、“名刺代わり”とも言うべきミニ・アルバム『Step by Step』がリリースされた。これまでのシングルとして発表された全ての楽曲と新曲2曲を加えたこの作品は、これまでサンダルテレフォンを追い掛けてきた人たちにとっては“集大成”というべきものとなり、これからサンダルテレフォンに魅了される人にとっては格好の“入門書”となることだろう。   忘れてはならないのが、こうした優れた楽曲を音楽表現へと昇華するメンバー4人の声とパフォーマンスである。現状では「音楽で心を繋ぐ」ことが主軸となっているが、サンダルテレフォンの最大の魅力はライブだ。リードヴォーカルとしてステージを引っ張る小町まいは、その凛とした、颯爽とした歌いっぷりがとにかくカッコいい。主にMCを任され、ステージに明るさと躍動をもたらす夏芽ナツは、同時にグループの土台をしっかりと支える。穏やかな佇まいの中にもどこか謎めいた雰囲気をまとう藤井エリカ。そして、4人の中では最もアイドル的魅力を放つ、とにかく笑顔が素敵な西脇朱音。当初は小町まいと夏芽ナツが中心となっていたが、サンダルテレフォンがアイドルデビューとなった西脇朱音と藤井エリカも日増しに貢献度を高め、今では4人が理想的なバランスを獲得。優れた楽曲をさらに魅力的に提示できる体制が整ってきたと言えるだろう。筆者が目撃したライブはまだ数少ないが、その清々しいまでに歯切れの良いパフォーマンスに目を見張った記憶がある。   そんなサンダルテレフォンの4人、小町まい、夏芽ナツ、藤井エリカ、西脇朱音に、グループの特徴や結成当時のこと、これまでの活動について、そしてミニアルバム収録の全曲についてたっぷりと語っていただいた。とはいえ、Speak emoとしてはまだまだ追い掛けていかなければいけない最重要グループの一つ。“名刺代わり”のインタビューとして、ぜひご一読いただきたい。         楽曲がどの曲も良くて初めて聴いた人もすぐに虜にできると思います(西脇)     ーーまずは直球の質問ですが、サンダルテレフォンってどんなグループですか?   夏芽ナツ(以下:夏芽):メンバーひとりひとりの個性が強いグループだと思います。容姿とか声質とそれぞれすごく違うなと思いますし、内面もみんなバラバラで、話してて色々と新しい発見があったり、話し合いの時にも自分が考えもしなかった発想が出てきて驚きます。本当にみんな個性的です。   小町まい(以下:小町):はい。楽曲がとても良くて、あとメンバーのビジュアルが強いです(笑)。   ーーたしかに強いですね。   西脇朱音(以下:西脇):2人も言ったんですが、メンバーそれぞれの個性が強いのと、楽曲がどの曲も良くて初めて聴いた人もすぐに虜にできると思います。楽曲から好きになってもらえるアイドルです。   藤井エリカ(以下:藤井):ライブハウスなどでたくさんライブをやってるんですが、ミュージックビデオなどを観て「曲がいい」と言って現場に足を運んでくれる人が結構いるので、やはりみんなが言うように楽曲がいいんだと思います。あと、4人とも年齢が近くて、でも性格がバラバラなので、それも良さなのかなって思います。   ーーグループ名が非常にユニークですよね。これはどういう意味なんですか?   夏芽:グループ名は、プロデューサーの井本さんが『新世紀エヴァンゲリオン』のファンで、それに登場する敵キャラ「使徒」の中に「サンダルフォン」っていうのがいるんですよ。井本さんがエヴァの中でヒントを探していた時に「サンダルフォン」っていうのが鮮明に印象に残ったみたいで、そこから「サンダルフォン」で検索をかけたら、ある動画が出てきて、それがサンダルを電話に見立てたようなプロモーション動画だったようで、そこで閃いたらしくて…。で、リストに50個ぐらいグループ名候補を持ってきてくれて、私と(小町)まいちゃんは見させてもらったんですが、その中でパッて目に入ったのが「サンダルテレフォン」だったんです。関係者の方からも「名前を口に出したくなる」とか、対バンライブの出演者リストに並ぶ時も「目に入りやすいね」と好評だったので、「サンダルテレフォン」に決まりました。   ーーちなみに他の候補で面白いのはあったんですか?   夏芽:私がもう一つこれいいなって思ったのが「頂天眼(ちょうてんがん)」でした。   ーー何ですか?それは。   夏芽:金魚の種類です。「サンダルテレフォン」の次に目に入ってきました。   小町:私は「曖昧サンデー」でした(笑)。   ーーあぁ、「サンダルテレフォン」になって良かったですね(笑)。   井本プロデューサー:少し補足させていただくと、エヴァの「サンダルフォン」って、元々はキリスト教のユダヤの大天使の一人なんですけど、そこから「サンダルテレフォン」っていうワードに行きついて…。そのグループ名に「鳴らない電話」という意味を持たせて、「実際に通信ができるわけじゃないけど、私たち“サンダルテレフォン”っていうツールを通して、つまり“鳴らない電話”を通して心をつなぐことができる」っていうコンセプトにしたんです。   ーーたしかに「鳴らない電話で心をつなぐ」っていうコンセプトがどこかに書いてありました。「サンダル型の電話」は鳴らないけど、でも、皆さんの音楽で聴く人と心をつなぐ、みたいな感じですかね?   一同:はい、そうです。   ーー西脇さん、藤井さんは、そういうコンセプトを聞いていかがでしたか?   西脇:そうですね。最初は正直「音楽で心をつないでる」みたいなことが自分ではあまり実感できなかったんですよ。でも、今はコロナの状況でファンの方と会えなくなって、より「音楽で心がつながってる」って感じることが多くなって、その意味をより強く感じています。   ーー決して望ましい状況ではないですけど、図らずもそういう状況がそれを実感させてくれたわけですね。藤井さんはいかがですか?   藤井:私と西脇は新メンバーとして入ったんですが、初めグループ名が「サンダルテレフォン」って聞いた時に、私の中でアイドルの名前ってもっと可愛いイメージだったので、「え?なにこれ?」って思ったんですよ。でも今は、こうやってサンダルテレフォンという名前で活動して、沢山グループの出るフェスとかだと一番パッと目に付くので好きになりました。あと、私たちの中身は知らなくてもサンダルテレフォンってワードだけで結構みんなが気になってくれているみたいで、そういう意味でもこの名前で良かったなって思います。   ーー不思議な名前ですけど、響きがいいですよね。皆さんSNSだったり特典会だったりでファンの方と交流することあるが多々あると思うんですが、ファンの方からはどんなグループと捉えられてると感じますか?   夏芽:私たちのグループのファンの方って、“箱推し”が多いんですよ。メンバーみんなが好き。やはり楽曲の好きな人たちが多いので、他のグループさんと比べても箱推ししやすいグループなんだと思います。ファンの人から見たサンダルテレフォンは、楽曲が良くて、みんなそれぞれに個性があるので、箱推ししたくなるんじゃないかと思います。   西脇:ファンの方には、アイドルっていうよりアーティスト寄りみたいに捉えている方もいて、自分たちもそっち寄りを目指してるっていうか…。そういう部分もあるので、うれしいですね。