プロデュースする時の私と、ステージで歌っている時の私と、作曲している時の私で違う気がします

いつ炎上するか不安でしょうがないです（笑）

 

――では一曲ずつ見て参りましょう。まずはアルバム用に作ったという「恋せよ乙女」。これ、軽妙なギターのカッティングから始まります。“エレポップ・ガール”と謳っているのにギターから…。まあ、80年代臭はプンプンしますが。

 

加納：とりあえず80年代っぽい匂いがしてればいいかなって（笑）。最近は“NEO・エレポップガール”ってそんなに打ち出してないっていう…。

 

――そうなんですね。

 

加納：とりあえずやっつけで付けたキャッチコピーなので。

 

――では、今の加納さんの本質を表すキャッチコピーってどんな感じですか？

 

加納：何なんですかね？ 最近そんなこと考えてなかったですね。

 

――で、あまり引用元とかを解き明かすのもちょっと無粋なのであんまりやらないようにしているんですが…

 

加納：大丈夫ですよ。全然言えます。これはマドンナとエイス・ワンダーを引用してますね。

 

――あぁ、エイス・ワンダー。

 

加納：「Cross My Heart」ですね。

 

ーータイトルの「恋せよ乙女」ですが、今の若い女性の空気感ってこういう感じなんですか？

 

加納：私は、歌詞を書く時はあまり深く考えないタイプなんですよね。自分が作ったメロディーにこの言葉が一番合うなっていうのを雰囲気で当てはめてるので、タイトルにも特に意味ないし、内容にもあまり意味はないです。

 

――同世代の女性って「恋せよ乙女」って感じなんですか？

 

加納：どうなんですかねぇ。人によるんじゃないですかね。

 

――それこそ80年代の頃ってイケイケでしたから、やはりこういう空気感があったように思うんですが…。

 

加納：そうなんですか？

 

――今ってもっと現実的なのかなって。

 

加納：ナヨナヨしてますよね。女性はみんな。ナヨナヨしてます。

 

――加納さんって結構もの言いますよね。意外と。

 

加納：言いますね。Twitterとかで結構暴言吐いて（笑）。いつ炎上するか不安でしょうがないです（笑）。

 

――でも、黙ってられないことに対しては黙ってない、と。

 

加納：黙ってるつもりでいるんですけどね。時々漏れてしまうことがあって。

 

――先日も「街を歩く女の子たちの会話が悪口ばかり」と嘆いておられました。

 

加納：そうそう。悪口ばかり言う女の子に喝を入れたいなと思って。まぁ、私も悪口ばっか言ってるんで、そんなこと言えないんですけどね。

 

――なるほど。そんな“もの言う”加納さんのことですから、例えばこの歌詞にも、「80年代のころの空気感を出しつつ、今のちょっとそうじゃない空気と対比させてその問題点を浮き彫りにしよう」「恋して、子供をたくさん作って、少子化問題を打開しよう」とか、そういう提言なのかな、と…

 

加納：そんな社会的・政治的な意味は全くないです。

 

――ですよねぇ（笑）。そして、続く3曲は『EP.1』がそのまま収録されています。

 

加納：あ、そうですね。

 

――え？ 狙いじゃないんですか？

 

加納：いえ、全く。

 

――全然ですか？

 

加納：全くないですね。意図的ではないです。たまたまそうなってるなって今気づきました。

 

――てっきり『EP.1』の「ごめんね」～「Next Town」の繋ぎがとてもいいので、そこは崩さず入れようっていうこだわりかなと思ったんですが…。

 

加納：あぁ、でもそういう風に聴いてもらえたらうれしいですね。確かに。

 

――曲順ってこだわりました？ 繋ぎとかも含めて。

 

加納：考えてないです。

 

――考えてないですか？

 

加納：曲順もよく分からなくなって、なりすレコード平澤さんやエンジニアさんと相談しながら決めました。

 

――そこらへんは他人の手を借りるわけですね。

 

加納：私はもうサブスクしか聴かない人間で、アルバム単位では聴かないんですよ。なので、そういうのはフィジカルで音楽を聴いてきた方に任せちゃったほうがいいかな、と。最初は「ごめんね」が1曲目だったんですけど、「恋せよ乙女」でいった方がいいって言われて変えました。

 

――では、「Moonlight」をアルバム本編の最後に持ってきたのは？

 

加納：「Moonlight」は唯一のスロー曲なので、どこに置こうかすごい悩んだんですよ。で、アナログも出すので、A面B面最初には“音が一番良いところ”で聴かせたい曲を優先的に選んで、音数が少ない曲は後半にしようってことになって。そうなるとB面のラストは「Moonlight」でいいんじゃないか、ってなりました。

 

――そうか。アナログのA面B面っていうのも考慮に入れたわけですね。

 

加納：そうなんですよ。アナログを出すので、それも考えながら曲順を決めていったって感じですね。

 

――A面B面の境ってどこですか？

 

加納：片面5曲ずつ、20分ずつで作ったんです。A面頭が「恋せよ乙女」でB面頭が「Just a feeling」ですね。そこが一番音が良く聴こえるように。