Speak emo

2019.05.25
フィロソフィーのダンス

武道館に立っても「通過点だ」って言うと思います

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ファンクへの愛情は深まっています(十束)

――で、3rdアルバム『エクセルシオール』についてお訊きしますが、さらにファンク感が強まり、ファンク道を突き進んでいるように感じられます。いや、”ファンク”というより、さらに幅広い”ファンキー・ミュージック”と呼んだ方がいいようにも思いますが…。

一同:はい。

――皆さんもうファンクはお手のものですよね?

奥津:フフフ。どうなんでしょうね。でも「やればやるほど奥深過ぎてわかんない」っていうところはありますけどね。「これもファンクなの?」みたいな。「ファンクではないけど、これはこういう音楽だよ」といった感じで、掘れば掘るほど知らない音楽と出会うので、もうわからなくなってます(笑)。

――最初に取材させていただいた時って、まだ皆さんそれほどファンクを消化してるわけではなく、でも、そういう「ファンクに通じていない人がファンクを歌う」という面白さみたいなものもあったと思うんですが、今やもう、そうしたアイドル性とファンクが見事に溶け合ってきているといいますか…。ファンクにはかなり詳しくなったんじゃないですか?

佐藤:いえ、詳しくはないですけど…。このグループに入って、それまで全く聴かなかったそういうジャンルの音楽を好きになって、今は自然とそういう曲を聴くようになってる自分がいます。プレイリストで聴いたり、タイトルも知らなければ、ちょっとグループ名を聞いたことがある、ぐらいの洋楽とかをBGMにしたりして…。聴いてるだけで楽しくて、なんか踊っちゃう、それでいいじゃん!って感じのがファンクなのかな?と自分の中では理解してます。

――なるほど。逆に、もうファンク飽きちゃったとかないですか???

十束:飽きはしないですけど…。宮野さんが最近「アキバファンク」っていうプレイリストを私に送ってきてくれたんですが、どうやら私はいろんなものの融合体みたいなものが好きなようで、「アキバとファンクを掛け合わせたらおもしろいんだな」とかそういう気づきがあったりして…。そうやって考えていくと、売れてるJ-POPとかにファンク要素が入ってるもの、めちゃめちゃ多いじゃん!って気付いて…。むしろファンクはとっかかりやすいというか、聴きやすいジャンルなんじゃないかなって最近改めて発見がありました。愛は深まってます。

――なるほど。異なる場所にあったと思われたものが、意外とどこかで繋がってて…。

十束:専門的なジャンルだと思っていたのが、意外とそれをルーツにしてる作曲者の方が多くて、それをエッセンスとして普通にJ-POPにも取り込んでいたりするので。実は耳馴染みのいい音楽だったっていうのを知ったり、自分たちもライブで歌ったりすることで、ファンクへの愛情は深まっています。

――ファンクの要素もあるシティポップなど、70~80年代はもうメインストリームだったわけですし、あと、ハロプロなんてまさにファンクの要素が随所にあります。

奥津:そうですそうです。つんく♂さんはそうですよね。モーニング娘。さんにもファンクの要素がたくさんあるので、私たちも「実質モー娘。じゃん!?」と思ってやってます、アハハ(笑)。

――アハハ(笑)。

奥津:ケラケラケラ(笑)。

――(笑)。いやでも、アルバムにはモー娘。っぽく仕上がってる曲もありますよね。

奥津:そうなんですよ。だからハロプロファンの方にも楽しんでいただけるんじゃないかと思います!なんか「ファンク」って捉えるよりも、普通にJ-POPとして聴いていただければ、普通に踊れる楽しい音楽だと思います。ライトに楽しめる音楽じゃないでしょうか。

――皆さんにとっても随分と身近な音楽になっているわけですね。あと、SCOOBIE DOさんとライブや音源などで共演されました。

十束:はい。

――何か吸収したものはありましたか?

十束:めちゃんこありました!

――やはり。それは何でしょう?

十束:(笑)。

――何ですか…?(笑)

奥津:教えない(笑)。

――教えないという技もあるんですね(笑)。当てましょうか?

十束:当ててみてください。どうぞ。なんだと思いますか?

――なんですかね…(笑)。

十束:何でしょう?

――う~ん…「SCOOBIE DOさんにもアキバと通じる要素があった」みたいな???

奥津:アハハハ(笑)。

十束:う~ん。普通に間違いです(笑)。

――(笑)

十束:普通に答えますが(笑)、これまでの活動で、決められたことをきっちりやる能力は備わってきたと思うんですけど、予定調和を壊して生のライブ感を伝えるっていうことに関しては私たちはまだまだだったな、と思いました。SCOOBIE DOさんのライブを見たり、実際に接したり、レコーディングに立ち合わせていただいたりすることで、やはりライブは生のものだし、“グルーヴ”というものが存在してるので、決められたことじゃなくてその時その時の自分たちの“生命感”とか“力”みたいなものをどんどん客席に放出しないといけないな、っていうことを学びましたね。そこからはライブが少し変わったと思います。

――ということは、その後に行われたステラボールでのワンマンにもそれが生かされているわけですね。

十束:はい、生きてると思います。

――アドリブを習得したということですか?

十束:アドリブっていうか、なんか変な気持ちで…。「アドリブしよう」と思ってするのではなくて、「自然に沸き出たものが一番いいものだ」って考えになったっていう感じですかね。

――つまりは、オーディエンスの反応を見て、それに対して自分がどう反応するか、というわけですね。

十束:はい。なんか変に決め込まないで…まあ、決め込むところは決めますけど、そうじゃないところはもっと自由でいいんだな、っていうのを学びました。

――なるほど。ファンクですね。

十束:「ファンクですね」ってそうやって使うんですね。

一同:(笑)。

――(笑)。

十束:なるほど、ファンクですわ(笑)。

――ファンクです(笑)。ワンコードでずっと同じパターンを繰り返しながら、でも、決して同じこと繰り返すわけじゃなくて、そんな反復の上に自分の内から湧き出るものを乗せていって変化をつける…まさにファンクです!

十束:はい。実にファンクですね(笑)。

――“ファンカーおとはす”ですね。

十束:(笑)。太文字にしといてください、そこ(笑)。

――はい(笑)。あんぬさんはいかがですか?

佐藤:今まで「憧れの人」「尊敬する人」って訊かれて、めちゃくちゃ困っていたんですよ。特に憧れてる人もいないし尊敬出来る人も…。「尊敬って何だろう?」って思ってたぐらいで…。SCOOBIE DOさんと共演して、「私もこうなりたい」って思える方に出会えたというか。ワンマンを観させていただいた時に、SCOOBIEさんが「続けて来たから今があるんだ」といった強い言葉を心の底から発しているのを感じたんですよね。長く続けるって簡単なようでいて難しいじゃないですか。SCOOBIE さんは4人でやって来られて、私たちも4人でなので、そんな熱さを絶やさずに続けていけるグループになりたいなと思いました。私たち結構「クールなライブが多いな」って印象だったんですけど、SCOOBIEさんの体当たりの、攻めて攻めて攻めるみたいな熱いライブを観て、私たちのライブにもそういう姿勢があってもいいんじゃないか、と思いましたね。

――あんぬさんは先ほど「ワーッて大はしゃぎするタイプじゃない」とおっしゃっていましたが、これからは熱い部分も打ち出していこう、と?

佐藤:そうですね。出来れば歌い分けられるようになりたいんですけど、メンバーそれぞれ声が違うので「私はそこまで個性を出す必要もないのかな?」って思う部分もあって…。普通のままでいて、そんな私の普通が逆にみんなを引きたてることが出来るんだなと最近気づいたので、あんまり飾らずにそのままでやってます。

――ライブだと特に実感するんですが、皆さんの声がホントに“躍動”してるじゃないですか。そんな中で逆にあんぬさんの声がすごく目立ちますよね。

佐藤:ホントですか?自分ではそういう実感は…。でも4月の東名阪ツアーの、たしか名古屋公演が終わった時に、加茂さんが「あんぬちゃんはもう歌心配ないね」みたいなこと言ってくださって。目立たない分、褒められることも正直少ないなと感じてたんですが、でもそういう風に言ってもらえた時に「ちゃんとやって来てよかった」って思いました。

――3人が声で掻き回す中、ふっとあんぬさんのパートになるととても染み入ってくるというか…。

日向:掻き回してすみません。

――いやいや(笑)。でも、あんぬさんの声でなんか安定するというか落ち着くというか。

佐藤:自分の声に使い勝手があってよかったです(笑)。このまま「特徴ない」というスタイルで死んでくのは切ないので(笑)。

――アハハ(笑)。

佐藤:(笑)。逆にみんなとバランスを取るという“役割”をみんなが創りだしてくれたのが嬉しいです。

奥津:でも、こっちも普通に歌ってますよ(笑)。

十束:うん、掻き回そうとはしてないです(笑)。「困らせてやろう」とか全然思ってないんですけど(笑)。

――いやいや、「掻き回す」っていうのは「困らせる」ことではないですけど。「いろいろと変化を起こしてる」って感じです、はい。

佐藤:“普通の人”がもう一人いたらそれはケンカになっちゃうので、特徴的な声の持ち主が3人いて私的には「ありがたいな」と思ってます。

――なるほどね。で、SCOOBIE DOさんのことをまだお訊きしていない方がいますが…。

奥津:SCOOBIE DOさんは、ライブにすごい感情が乗ってるなと思いましたね。言葉一つ一つにちゃんと重みがあって、いちいち心揺さぶってくるというか。「ここで盛り上げなきゃいけないから言おう」といった感じではなくて、「しっかりと人生で積み上げてきた魂を放出して」みたいな。熱くて…でも、激しく叫ぶっていう熱さじゃなくて、感情としての熱さみたいなものがすごく強くて。対バンさせていただいた時も、フィロソフィーのダンスと一緒に「全員で踊ろうぜ」みたいなものをしっかりと伝えてるのを感じました。それをいちいち全部に込めていて。こんな私たちとツーマンしていただいた時も、感情という“熱”でぶつかってきてくれていることにすごく感銘を受けましたね。それからは私も「感情っていう“熱”で歌うようにしよう」と思って…。ライブって感情が大事だなと思いました。いいライブっていうのは、感情が顔に出ている時というか放出されている時だと思うので。決まったことをずっとやるよりも“感情に声を乗せる”ということが大事だなと思いました。

――実にファンクですね。

奥津:(笑)。

――では、ハルさんいかがですか?

日向:だいたい被ってしまうんですが…。今までの私たちは、その日のセトリに対して「練習したものを完璧にこなすこと」を目標としてライブをやって来たと思うんですが、SCOOBIEさんのライブは「決まったことをこなす」のではなくて、プラスアルファで溢れ出るものがあって、それは練習してきたものじゃなくて、その人の人生の積み重ねだなと思いました。そういう部分を目の当たりにしてすごく刺激を受けましたね。

――なるほど。なんかちょっとこのアルバムにも通ずるところがあるかもしれないんですが、ヒューリスティックな感じで、ですかね?(笑)。

佐藤:おお。

――だからその、アルゴリズムで算出されるのではなく、経験則というか、自分の経験や直感によって意思決定するっていうことですから。

奥津:ああ、そういうことだ。

佐藤:深い!

奥津:「ヒューリスティックな感じで」っていうのがおもしろかった!

取材・文
石川真男

フィロソフィーのダンス 商品情報

●3rdアルバム『エクセルシオール』

1.イッツ・マイ・ターン
2.ラブ・バリエーション
3.スーパーヴィーニエンス
4.ロジック・ジャンプ
5.フリー・ユア・フェスタ
6.パレーシア
7.シャルウィー・スタート
8.スピーチ
9.バイタル・テンプテーション
10.ヒューリスティック・シティ
11.ライブ・ライフ
12.ハッピー・エンディング

   
▼通常盤(CD)
通常盤

品番:UXCL-198  価格:¥3,000(¥3,240)
 

▼初回限定盤(CD+ボーナスCD)
初回限定盤(CD+ボーナスCD)

(ボーナスCD収録曲)
Live at Stellar Ball 2018/12/16

1.ファンキー・バット・シック
2.イッツ・マイ・ターン
3.すききらいアンチノミー
4.アイム・アフター・タイム
Funk Up Medley
5. (1).バッド・パラダイム~(2,)ライク・ア・ゾンビ~(3)バイタル・テンプテーション
(4),エポケー・チャンス~(5)バッド・パラダイム(Reprise)
6.アルゴリズムの海
7.コモンセンス・バスターズ
8.ラブ・バリエーション
9.はじめまして未来
10.ライブ・ライフ
11.アイドル・フィロソフィー
12.ベスト・フォー
13.ジャスト・メモリーズ
14.ダンス・ファウンダー

品番:UXCL-200  価格:¥3,500(¥3,780) 
  

▼初回限定盤(CD+ボーナスDVD)
初回限定盤(CD+ボーナスDVD)

(ボーナスDVD収録曲)
Visions of 2018

Music Video
1.ダンス・ファウンダー(Re:Vocal&Single Mix)
2.ライブ・ライフ
3.イッツ・マイ・ターン
4.夏のクオリア(remixed by ikkubaru)
5.ヒューリスティック・シティー
6.ラブ・バリエーション WITH SCOOBIE DO

Bonus 映像
7.Girls Are Back in Town Vol.1 転換映像1
8.Girls Are Back in Town Vol.1 転換映像2
9.ヒューリスティック・シティー メイキング映像

品番:UXCL-202  価格:¥4,000(¥4,320) 

●ライヴDVD
ライヴDVD

『ライブ・アット・ステラボール』
UXCL-207/¥4,200(税抜)

●配信リリース
配信リリース

「ライク・ア・ゾンビ~ヒャダインのリリリリ☆リミックス ~」

6ヶ月連続でリミックス・バージョンの配信決定!第一弾はヒャダインさんリミックス好評配信中!

●「ライブ・ライフ」7インチ・アナログ・レコード
「ライブ・ライフ」7インチ・アナログ・レコード

「ライブ・ライフ」(7インチ・アナログ・レコード)

カップリングには「ソバージュ・イマージュ」の
ニュー・ミックスを佐藤まりあのソロ・ボーカル・バージョンを収録。

フィロソフィーのダンス ライブ情報

・2019/6/12(水)
Experimental Forbidden Night vol.3
東京都・TSUTAYA O-nest
開演 19:00

・2019/6/30(日)
Funky But Chic vol.27 
大阪府・アメリカ村DROP
開演16:00

・2019/7/16(火)
奥津マリリ生誕祭
東京都・TSUTAYA O-WEST
開演19:00

・2019/7/19(金)
Funky But Chic vol.28
愛知・名古屋 ell Fits ALL
開演19:00

メディア情報

テレビ朝日「フィロのス亭」
隔週水曜日深夜2:24-2:54 

PROFILE

PROFILE
フィロソフィーのダンス
2015年、コンテンポラリーなファンク、R&B、哲学的な背景を持つ歌詞をアイドルに歌わせるというコンセプトの元、氣志團、ナンバーガール、ベースボールベアー、相対性理論などを手がけた加茂啓太郎がオーディションとスカウトでメンバーを集め結成。 2016年には早くも東京アイドル・フェスティバル、@JAMという2大アイドル・フェスティバルに出演。 同年11月20日には原宿アストロ・ホールで初のワンマン・ライブを行う。 同月23日にファースト・アルバム「Funky but Chic」をリリースする。 ライムスター宇多丸、マーティー・フリードマン、平成ノブシコブシの徳井健太などから絶賛された。 2017年3月渋谷WWW、同年7月新宿BLAZEでのワンマン・ライブをソールドアウトさせる。 同年11月セカンド・アルバム「The Founder」をリリース。 オリコンウィークリー・チャートで35位となる。 また収録曲「ダンス・ファウンダー」はSpotifyのバイラル・チャートでアイドルとしては初めて1位となる。 2018年2月シングル「ダンス・ファウンダー(リ・ボーカル&シングル・ミックス)」をリリース 、オリコン・ウィークリー・アルバム・チャート33位となる。 同月callmeとの2マン・ツアー「レッツ・スティック・トゥギャザー」を東名阪で開催した。 6月16日に恵比寿リキッド・ルームで初のバンドセットでのワンマン・ライブを開催する。 この日のライブを一流ミュージシャンにサポートしてもらいDVD化するために行ったクラウド・ファンディングは目標金額の300万を一晩でクリアーし、最終的には1,000万超を達成。また、6月30日名古屋、7月1日大阪でのワンマン・ライブを含む東名阪ツアー全3公演をソールドアウトさせ、大成功に収めている。
十束おとは(Totsuka Otoha)

誕生日8月9日
獅子座
血液型A型
出身地 神奈川県
Twitter:@ttk_philosophy

日向ハル(Hinata Haru)

誕生日7月11日 
蟹座 
血液型O型 
出身地 神奈川県
Twitter:@philosophy092

佐藤まりあ(Sato Maria)

誕生日9月13日 
乙女座 
血液型B型  
出身地 埼玉県
Twitter:@_satomaria