Speak emo

2019.05.16
寺嶋由芙

「この寺嶋由芙、結構いい女なんだからよろしくね、世間の皆さま」って思って歌うようにしています(笑)

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実生活でもオフの日は本当に生産性のない生活をしていますね(笑)

――「リアリティがある」とのことですが、これはどうなんでしょうか。「終電逆算 明日も早い」「ちょっと今日だけ帰りたい」。例えばそれは、打ち上げとかがあったりして遅くなったりとか、そんな感じですか?

寺嶋:なんですかね。いい女だからお付き合いはしなきゃいけないけど、とはいえ今日はもう帰って寝たいんだよ、って感じですかね。例えばそれがデートの誘いだったとしても、いい雰囲気になったけどちょっと今日はもう疲れてるから、みたいな。

――ずるずると朝まで付き合っちゃうのではなく、やっぱりちゃんと自分の生活があって、次の仕事をきっちりしなきゃいけない、ちゃんと朝起きてやらなきゃいけない、というのが“いい女”だと。

寺嶋:そうですね。でもどっちがいい女かなぁ…付き合うのがいい女、な時もあるじゃないですか。ちゃんと付き合って、最後まで一緒にいる。デートなのか打ち上げなのか、最後まで付き合って、でも次の日も朝からちゃんと仕事してみたいなのが理想のいい女ですけど、多分それはできないから「今日はちょっと勘弁してよ」って。そう思ってるいい女の“本音”みたいなのが多分そこに垣間見られるんだと思います。

――もしかしたら、普段なら付き合ってるかもしれないけど、さすがに疲れが溜まってきて「今日は…」とか、次の日に大事なプレゼンがあったりするから「今日は…」とか。

寺嶋:そうですね。「今日は勘弁してくれ」みたいな。

――でも、オタクの方は、寺嶋さんのイベントやコンサートに来た後は、必ず飲みますよね?

寺嶋:そうなんです。楽しそうです。

――もしかしたら朝まで行っちゃう人もいたり。

寺嶋:元気ですよね。

――でも、ちゃんと次の日会社に行ったりするんでしょうね。

寺嶋:そうなんですよ。だからオタクもホント“いいオタク”なんです。男の子たちも、趣味に思いっきり時間を使って、体力も使っているけど、でも疲れた夜もちゃんとシャワー浴びて寝て、次の日は出社するわけじゃないですか。そういう意味では、日々頑張ってる人だったら誰にでも当てはまる曲なのかなって。

――“いい女”だけではなくて、“いい男”も共感できるという。

寺嶋:してもらえるといいですね。でも、今のところメンズたちは「すーしー」で頭がいっぱいみたいなんですけど(笑)。

――あの「すーしー」は強いですもんね。あと、これもすごいですよね。「私栄誉賞」って。こんな歌詞なかなか出てこないですよ。

寺嶋:それすごいですよね。

――「栄誉賞」っていうのが絶妙ですよね。本当に優れた人にあげるというより、それなりに頑張って来たからそれなりにあげよう的な感じもあるじゃないですか。表彰の対象や根拠が今ひとつ明確じゃないような感じもあって…。そのニュアンスが絶妙です。

寺嶋:そうですよね。自分で自分を褒めるので、そんな感じになってるんだと思います。自分自身を叱咤激励もしながら日々の生活を頑張るっていう…。誰も甘やかしてくれないんですよ。だって「あなたの前じゃあんまり泣かない」ので。だから、その分、自分で自分を甘やかすというか…。

――みんなの前では平気で、そんな褒めてあげなくても完璧にやり遂げるわけですね。

寺嶋:なので、彼氏の前とかでも平気なんですよ。

――なるほど。それで褒めてくれないけど、やっぱり褒めてほしいという気持ちがどこかにある、と。

寺嶋:ゆえに、メイク落としただけで栄誉賞を与えてるっていう。大変なんですよ。女子ならそこはすごい共感してもらえると思います。でもそれ聴いた女の子たちが夜ツイートするのを見ると、「今日はメイク落として寝たから私栄誉賞だ」って言ってくれてたりとかしてて、すごく生活に馴染む歌詞なのかなって。日常のどこかでふと思い出すようなエピソードが入ってる歌詞だと思います。

――特殊なファンタジーを描くのではなく、生活に寄り添う歌詞ですね。そういう意味では「六畳間パーリナイ」っていう一節にも生活感が漂います。

寺嶋:生活感たっぷりですよ。でも、六畳間にいるのに「地球の沙汰は私の次第」なんです。それがすごい。

――ここ、ちょっと突っ込みたかったんですが、日本文学を学んだ寺嶋さんからすると、この日本語ってちょっと正確じゃないというか、変則的ですよね。

寺嶋:多分ノリ重視です。

――ですよね。音重視って感じですよね。

寺嶋:はい。

――「地獄の沙汰」とはよく言いますけど「地球の沙汰」。そして普通は「私次第」ですけど、代わりに「私の次第」。「事の次第」といった使い方はありますが…。これは「地球の物事のいろいろは私次第」ってことですかね?

寺嶋:もちろん自分がどうこうしたからって地球が変わるわけじゃないんですけど、自分は変われるじゃないですか。自分が変われば、環境の見え方が変わるから、まるで「地球の沙汰」が「私の次第」で変わったような気持ちになれるというか。めそめそして一日過ごしたら、地球中もめそめそ。みんなに分かってもらえなくても、自分がハッピーに生きてれば、みんな仲間みたいな気持ちになれる。そういう自分を激励するためというか、自分が楽しくやるためにスイッチを切り替えることをここで歌ってるのかなって思います。

――そういう意味では、すごくポジティブなマインドにも見えるんですが、ある意味、そう考えないとやっていけないみたいな苦しさも見えてくるような気もします。

寺嶋:そうなんですよ。結構大変なんでしょうね。

――自分にそう言い聞かせるしかない、みたいな。

寺嶋:そうやって奮い立たせて毎日頑張ってるっていう感じなんでしょうね。

――寺嶋さん自身はどうですか? 先ほどは「寝ていても寿司を食べたい」とおっしゃいましたが…。

寺嶋:ダラけたい日もありますよ。でもこの歌の主人公も、大変だって言いつつも仕事を頑張ってる自分のことは結構好きなんだと思うんですよね。私も大変なスケジュールの時の方が楽しいっていうか、生きてる実感を得ているみたいな気持ちになるので、「もう疲れちゃった」って思えるぐらいみっちり頑張って、一旦ダランとするけど、ダラダラしてもいられないからまた頑張るか、って一度気合を入れ直すみたいな。そのサイクルで日々が回ってるので、この一瞬の息抜きがあってこその“いい女”なのかなって思います。

――なるほど。闇雲に頑張るだけではどこかで破綻が来るかもしれないので、ある種の息抜きのようなものが必要だと。ポジティブに進んで行くためには必要なことっていう感じなんでしょうかね。

寺嶋:そんな気がしますね。

――寺嶋さんも“息抜き”やってますか?

寺嶋:実生活でもオフの日は本当に生産性のない生活をしていますね(笑)。最近は整体に行くっていう目的ができたので行ったりしてますけど…。それ以外は、ゆるキャラを見に行くか、でも平日のオフってゆるキャライベントもやってないので、独りでピューロランドに行くか、でも元気がなければ家でずっとツイッターしてるかみたいな…。暗いんですよ。でも、そういう「うへー」みたいな日があるから、次の日もライブ頑張れるみたいなのがありますし、多分この歌詞の主人公の子も、家でそうやって一瞬「ぐでん」ってできるからこそ頑張れる。例えば、これでこの主人公の子が家の中もめちゃめちゃ綺麗で、おうちに帰ったらお花にお水をあげてみたいな、セレブの生活が分からないんですけど、素敵なバスソルトで泡風呂に入ってみたいな…

――天蓋の付いたベットで寝て、とか。

寺嶋:そう。そんな感じの私生活が例えば歌詞に入ってたら、それはもう私にとっては完全にファンタジーなので私の歌じゃなくなっちゃいますけど、普通に日々を頑張ってる人に聴いてもらうには、ちょっと“息抜き感”みたいなものが入っていていいんじゃないかと思います。

――で、「Wow Wow Wow」の部分なんですが、そこまでの歌詞を見ていると、あなたの前じゃ泣かないっていうのは、もしかしたら仕事仲間、上司だったりするのかもしれないですし、彼氏なのかもしれないっていう感があって。いずれにせよ、1対1の関係で、「仕事も頑張るけど、なんとかあなたに対しても期待に応えたい」みたいな葛藤が描かれてるのかと思いきや、いきなり「どっからでも 口説いてこい」と来ます。なんだか様相が変わってきた感があります。どうなんですか?ここは。

寺嶋:どうなんでしょう?あなたっていうのが彼氏なのかはちょっと分からないですが、そこで「口説いてこい」と。「私こんなにいい女なんだから、こんなにいい女で頑張ってるんだから、同じくらいの気概で向かってきて欲しい」っていう意思の表れなのかなって思ってます。ここで結構強気な「超いい女なんだからそれに見合う形で口説いてきなさいよ」っていう。

――なるほど。そんなちょっと混沌とした世界観は、児玉さんならではって感じがします。

寺嶋:そこもハロっぽいですよね。

取材・文
石川真男

寺嶋由芙 商品情報

2019/4/17 発売「いい女をよろしく」
2019 年、“いい女” ゆっふぃーが届けるのは、90 年代正統派アイドルソング!

初回限定盤(CD+DVD)

■初回限定盤(CD+DVD)
TECI-668/定価 1,667円+税

1.いい女をよろしく 2.Last Cinderella 3.いい女をよろしくーOff Vocal ー 2.Last Cinderella ーOff Vocal ー DVD :「いい女をよろしく」MV & MVメイキング

通常盤

■通常盤
TECI-637 /定価 1,111円+税
1.いい女をよろしく 2.Last Cinderella

寺嶋由芙 ライブ情報

寺嶋由芙ワンマンライブ「ゆっふぃーらんらんコンサート」
http://yufuterashima.com/topics/2019-07-07-live/

▼開催 
7/7(日)
開場 15:00
開演 16:00

▼会場 
日テレらんらんホール 
〒206-0812 東京都稲城市矢野口4015-1 
http://www.yomiuriland.com/lanlan-hall/access.html

PROFILE

PROFILE
寺嶋由芙
寺嶋由芙

「古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル。」 千葉県出身。早稲田大学文学部日本語日本文学コース専攻を卒業。中学・高校の国語の教員免許を取得。
2 年連続アイドルクイズ王を獲得。イベント MC やナレーター、アイドル情報サイト『Pop’ n’ Roll』の編集長、 串カツ田中公式応援アイドル、そして地元千葉県木更津警察の一日署長なども務める。 大好きな「アイドル」そして「ゆるキャラ」を繋ぐ「ゆるドル」として活躍中。「ゆるキャラ ® グランプリ」をはじめ、 各種キャラクターイベントに MC、そして” ゆるキャラ通訳” として出演し、ゆるキャラ界で絶大な人気を誇る。 ソロアイドル活動 7 年目になり、12th シングル『# ゆーふらいとII』を 2020 年 2/26 にリリース! 

公式サイト: http://yufuterashima.com/