Speak emo

2019.05.16
寺嶋由芙

「この寺嶋由芙、結構いい女なんだからよろしくね、世間の皆さま」って思って歌うようにしています(笑)

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今までで一番リアルな心情を歌ってる曲かもしれないですね

――新曲「いい女をよろしく」ですが、作曲は新人作家の庄司裕さん。編曲は「背中のキッス」などを手掛けたrionosさん。そして作詞は児玉雨子さん。この詞がもうパンチラインの連続というか。

寺嶋:すごいですよね。切り取りたいところがいっぱいあります。

――ですよね。ちょっといろいろお訊きしたいんですが、まずは「いい女をよろしく」っていうタイトル。これは誰が誰に「よろしく」なんですか?

寺嶋:「いい女のゆっふぃーを世間の皆さんどうぞよろしくね」っていう気持ちでやってます。

――「世間に向かって」という感じなんですね。

寺嶋:そうですね。おそらくこの主人公には、仕事があって、もしかしたら彼氏もいて、という状況だと思うんですが、その子もきっと「いい女の私を私の彼氏さんよろしくね」っていうよりは、会社の人だったり、もっと世間の人々に対して、「こういう社会の中で頑張ってるいい女がいることをよろしくどうぞ」って主張している…そんなイメージですね。

――なるほど。「世間に向かって」という場合でも、裏にはこういういろんな苦労があるけど、それも含めて頑張ってる自分自身をよろしくとも捉えらえれば、きっとみんなそうなので「そういう人と付き合う人はこういう苦労があるんだよ、よろしく」とも捉えられるじゃないですか。

寺嶋:そうですね。頑張っているいい女たちの代弁者と言ってもいいかもしれません。

――“いい女”である自分自身のことでもあるけど、そういう“同士”たちのことも歌っている、と。

寺嶋:そういう仲間たちへのエールみたいな部分もあるのかなって思います。

――なるほどね。で、この詞がぶっ飛んでいますよね。ちょっとよく分からない部分もあるんですが…。でも、こういう詞を歌うのってどうですか?ある意味“覚悟”がいるようにも思うんですが。なんていうか、ちょっと振り切って、やり切らないといけないというか…。

寺嶋:そうなんですよ。今まではもう少しストーリー性があって物語っぽい感じの歌詞をいただくことが多かったんですが、でも、私がすごく好きなモーニング娘。さんのノリノリのダンスナンバーってちょっとぶっ飛んだ詞の曲が多いですし、℃-uteさんとかでも「Danceでバコーン!」って言われたって何のことか分からないじゃないですか。でもすごい楽しいみたいな(笑)。

――「帰りにうどん食べてく」んですよね。

寺嶋:そうなんです。うどん食べちゃいますよね、℃-uteのライブの後は。だから、私のオタクはみんな今、この曲を聴いて“お寿司”を食べてくれてるみたいで(笑)。嬉しいんですよ。この新曲は、そういうノリ重視でおもしろい言葉がポンポン入ってくるかと思いきや、ちょっとドキッとするような刺さるフレーズも入ってるみたいな。それって、当時の好きなアイドルさんたちの曲の特徴をすごく捉えてくれているので、歌詞も含めてオマージュできてるんじゃないかなと思います。

――そうですよね。オマージュっていう部分もすごく感じますし、その一歩先を進んでるような感じさえします。で、随所にいい女の描写というか、いい女の“苦悩”の描写というか、そういうのがありますよね。「ほっといても君ならば大丈夫」っていうか…。

寺嶋:そうなんですよ。

――寺嶋さんもそうですか?

寺嶋:寺嶋さんそうなんです…。最初にその話を児玉さんとしましたね。割とほっといても大丈夫と思われがちです、って…。やっぱりアイドルって、刹那的なので、今観ておかなきゃみたいな、今観ないとこのメンバーでのライブはもうないかもしれないみたいな、そういうある意味ヒリヒリするような刹那感があると思うんですよ。そういうのがあると人を惹きつける吸引力が上がると思うんですが、私にはそれがないので…。辞めなさそうだし、いつも元気だしみたいな。実際元気なので(笑)。そういうヒリヒリした感覚で人を惹きつけることができないんですよね。そういうのもあって、「由芙ちゃんはいつでも行けるからちょっとこっちの新人ちゃんを観に行こう」みたいになりがち、ほっておかれがちなんです…っていうのを児玉さんと話しました。あと、「結構私いい女だと思うんですけど、あんまり誰にも気付かれないんですよね」みたいな話をしたら、こういう歌詞になりました(笑)。

――そもそもは、寺嶋さんが「私いい女だけどそう思われない」というところからできた詞なんですね。

寺嶋:そういう悩み相談をしたら…。

――まさに「いい女をよろしく」という感じですね。

寺嶋:そうなんです。だからそういう意味でも「この寺嶋由芙、結構いい女なんだからよろしくね、世間の皆さま」って思って歌うようにしています(笑)。

――今回、寺嶋さんの“いい女観”といいますか、“理想”のようなものが描かれているのかと思いきや、むしろ“リアリティ”だったりするんですか?

寺嶋:そうですね。割とリアルに毎晩化粧を落とすことは心掛けたりしていますし…。一番は共感するのは2サビの「あなたの前じゃあんまり泣かない/もっと嬉しい話をしよう」。これこそが活動する上ですごく大事なことだと思います。いいアイドルであるために必要って思っていたことが歌詞になっていたので、びっくりしました。

――前回の取材時も、そういったアイドルの苦悩とか不満はファンの皆さんに話すものではない、とおっしゃっていました。

寺嶋:そうです。オタクに言ってもしょうがないと思います。母とかには言いますよ。家ではめちゃめちゃ「むかつく」とか言いますけど、でもオタクに言うものではないと思います。

――なるほど。そういった部分は“リアリティ”なわけですね。では「寝ていても口に寿司よ入ってこーい」というのは…。

寺嶋:入ってこいって思いますよね。

――思うんですか???

寺嶋:思います。そういう生活がしたいです。

――MVではそれが実写化されていましたが…。

寺嶋:はい。猫が運んできてくれました。でも、寝ながら食べるのは大変でしたけどね、実際やったら大変だったんで、自分で食べた方が楽かなとは思いましたけど(笑)。でも、それぐらいにダラけちゃうというか、めんどくさくなっちゃう時もなくはないですけど、仕事は大事だし、毎日しっかり頑張りますのでよろしくね、っていう気持ちですね。

――そういう意味では、オタクの皆さんの前ではそういった苦悩とかは出さないとは言いつつ、ちょっと出ているわけですよね?

寺嶋:そこが可愛いですよね。この歌詞は。

――ですよね。サウンドを聴いて「一線を越えた」って感じがしたんですが、歌詞の面でも「ちょっと一線を越えてる」っていうところでしょうか?

寺嶋:今までで一番リアルな心情を歌ってる曲かもしれないですね。「天使のテレパシー」「わたしを旅行につれてって」「知らない誰かに抱かれてもいい」辺りは、主人公の女の子がいて、その子がどんなふうにストーリーを紡いでいくか、みたいなのを私が歌っていた感覚だったんですが、今回の曲は“私の曲”って感じがして嬉しいです。

――まさにリアリティがあるわけですね。

寺嶋:リアリティがあるし、それぐらい弱さを見せていることで、聴いてくれた方にも親近感を持ってもらえたら。例えばこれが「私いい女なんで毎日こんなに頑張ってます、どうぞよろしく」ってだけだと、聴いた人が「それは何よりです」って言って終わっちゃうじゃないですか。でも、歌詞に親しめるような弱音が入ってくることで、みんなに共感を抱いてもらえて、みんなが“自分の曲”として聴ける、っていうのがすごくいいんじゃないかと思います。

――なるほど。この1曲で寺嶋さんと、聴いてる方・オタクの方との関係性が一段上がる感じでしょうか?ある意味、寺嶋さんが苦悩を見せ、リスナーの方々がそれを受け取るわけですから、関係が深まったというか…。

寺嶋:もう5年の付き合いですからね。

――ここまで許すようになった、という感じですかね?

寺嶋:そうですね。

取材・文
石川真男

寺嶋由芙 商品情報

2019/4/17 発売「いい女をよろしく」
2019 年、“いい女” ゆっふぃーが届けるのは、90 年代正統派アイドルソング!

初回限定盤(CD+DVD)

■初回限定盤(CD+DVD)
TECI-668/定価 1,667円+税

1.いい女をよろしく 2.Last Cinderella 3.いい女をよろしくーOff Vocal ー 2.Last Cinderella ーOff Vocal ー DVD :「いい女をよろしく」MV & MVメイキング

通常盤

■通常盤
TECI-637 /定価 1,111円+税
1.いい女をよろしく 2.Last Cinderella

寺嶋由芙 ライブ情報

寺嶋由芙ワンマンライブ「ゆっふぃーらんらんコンサート」
http://yufuterashima.com/topics/2019-07-07-live/

▼開催 
7/7(日)
開場 15:00
開演 16:00

▼会場 
日テレらんらんホール 
〒206-0812 東京都稲城市矢野口4015-1 
http://www.yomiuriland.com/lanlan-hall/access.html

PROFILE

PROFILE
寺嶋由芙
寺嶋由芙

「古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル。」 千葉県出身。早稲田大学文学部日本語日本文学コース専攻を卒業。中学・高校の国語の教員免許を取得。
2 年連続アイドルクイズ王を獲得。イベント MC やナレーター、アイドル情報サイト『Pop’ n’ Roll』の編集長、 串カツ田中公式応援アイドル、そして地元千葉県木更津警察の一日署長なども務める。 大好きな「アイドル」そして「ゆるキャラ」を繋ぐ「ゆるドル」として活躍中。「ゆるキャラ ® グランプリ」をはじめ、 各種キャラクターイベントに MC、そして” ゆるキャラ通訳” として出演し、ゆるキャラ界で絶大な人気を誇る。 ソロアイドル活動 7 年目になり、12th シングル『# ゆーふらいとII』を 2020 年 2/26 にリリース! 

公式サイト: http://yufuterashima.com/