Speak emo

2019.01.09
加納エミリ

新しいアイドルの可能性を私が作りたいな、って

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やはり武道館ではやりたいなとは思います

――歌詞についても少しお聞きしたいんですが、作詞も全てご自身でやられています。作詞と作曲ってどちらが得意とか苦手とかありますか?

加納:私はメロディーが先に出てくることが多いんですが、まあでも、曲によってバラバラですね。歌詞が先に出来て、あとからメロディーをつけたりとかもありますし、色んな作り方をしてますね。

――なんとなくDTMやってる人って、“作曲”のほうが得意っていうイメージがあるんですけど、そうでもないって感じですか?

加納:どうだろう…。

――歌詞が先に出来ることもしばしばある、と?

加納:そういう時もありますし、逆にイントロから出来たり、本当にバラバラですね。

――『EP.1』のブックレットの歌詞を拝見すると、「ごめんね」なんて、楽曲と歌詞の内容がバッチリ合っているというか、それこそ80年代とかのトレンディードラマの1シーンみたいなイメージです。これは自然に出てきたものですか? それともそういうものを意識したり研究したりしたんですか?

加納:これは自然に出てきましたね。思ってることを書いただけです(笑)。

――もしかして実体験とか?

加納:基本的に歌詞は実体験とイメージが半々くらいです。この曲は実体験といえば実体験ですね(笑)。

――例えば「会いたいなんてさらさら思わない」という一節とか、「名前も思い出せない」という一節とか、きっと今のSNS時代の人だったらもっと違う表現になっていた気がするんですよ。

加納:そうなんですか?

――いや、分からないですけどね。僕の個人的な印象ですけど…。やっぱり80年代の香りがするんですよ。1987年に男女雇用機会均等法が出来て、女性が権利を主張するようになって、物言うようになって…。で、それより前の歌謡曲なら、こういうことがあると、悲しくて落ち込んで「でも頑張る」っていう風に帰結すると思うんですが、この詞では、ちゃんと言い返しているというか、「自分はもう未練はないのよ」って言っているというか…。そんな風に言い出したのがあの時代あたりからなのかなって。

加納:そうなんですね。

――今だと、もっとディスるか、反論せずに即デリート、みたいな言葉になるのかなって思います。そういう意味でも、あの時代の空気を捉えてるな、って。

加納:そんな風には考えてなかったですね。でも、そう言っていただけてすごくうれしいです。

――で、そんな中に「上書きするのよ」っていう一節があるんですが、80年代の女性を模して作ったとしたら「上書き」とは言わないと思うんですよね。

加納:「男は新規保存」「女は上書き保存」ってよく言われるじゃないですか。確かに女の子は「上書き」なんですよね。新しい彼氏ができたら、元彼のことはすぐに忘れちゃって新しい彼氏に夢中になるし、その新しい彼氏と別れて次に好きな人が出来たら、またその人のことに夢中で、みたいな。

――もしかしたら加納さんの世代からすれば「上書き」っていう表現は自然に使っているのかもしれないですが、これってやはりパソコンが普及してからの表現だと思うんですよ。

加納:そっか。そうですね。

――もちろんそれ以前から「上書き」って言葉はありました。例えば手紙の時代でも、修正液で消して上から書くことを「上書き」って言えますけど、「上書き」っていう表現が日常的に使われるようになったのは、やはりパソコンが普及してからだと思うんですよね。で、例えばこの歌詞が80年代を意識したものなら、「上書き」ではなくて他の言葉だったかもしれないですけど、ここに「上書き」という“80年代より新しい表現”を意図的に入れているのかなと思ったんですが…。でもそれは自然に出てきたんですか?

加納:そうですね。

――やはりそれは、どこか天才的な感覚があるんですよ。

加納:やめてください(笑)。才能なんてないです…。

――そして、それが“引っ掛かり”になっているわけです。

加納:そうですか。うれしいです。

――2曲目の「Next Town」ですが、これも実体験ですか?

加納:これは実体験じゃなくて、イメージで何となく作ったって感じです。

――まさにこれは「東京に出てきた時の心境」なのかなって感じがしたんですけど、そうじゃなくてイメージですか。

加納:恋愛以外の曲を作りたいなと思って適当に作りました(笑)。前向きな曲がいいかな、って。

――上京した時の心情かなと思ったんですけど違うんですね。

加納:でも、東京に出てきた時の曲を作りたいなとずっと思っていたので、そんな気持ちが若干反映されているかもしれないですね。

――「憧れの街」という部分も具体的なものをイメージしてるのかな、なんて思ったんですが。「自由が丘」とか。

加納:ああ、渋谷をイメージしましたね。

――渋谷ですか。

加納:渋谷109の辺りをイメージして。それ以外はそれっぽい感じの歌詞でいいやと思って作っちゃいました(笑)。

――では、続いて「ハートブレイク」。これは最後にどんでん返しでもあるのかなと思ったら、そのまま…

加納:ひたすら重い感じですね。

――これは実体験ですか?

加納:実体験です(笑)。

――逆にこれは実体験なんですね(笑)。

加納:過去の失恋体験をもとに作りました。もう殴り書きのような感じで(笑)。

――“アイドル”加納エミリとしては今は恋愛禁止なんですか?

加納:あんまり恋愛の事考えられる暇がないです。ありがたいことに最近は忙しくさせていただいてるので、もうそっちが一生懸命で、恋愛はあまり…(笑)。

――では、そろそろ締めに入ります。では今、目標とかありますか? 例えば「武道館でやりたい」とか、「メジャーデビューしたい」とか。

加納:やはり武道館ではやりたいなとは思います。でも今はまだまだだと思うので、4年後か5年後くらいには。とりあえず2019年の目標は、とにかくたくさん音源を出して、ライブもたくさんやって、たくさん加納エミリを知ってもらいたいな、と。そういう機会をもっと増やしたいなと思います。


取材・文
石川真男

加納エミリ ライブ情報

2019年2月13日(水)加納エミリ大生誕andリリースパーティ

会場:新宿Motion
OPEN 18:30 START 19:00
前売:2500円 当日 2800円(+各D代)
出演:加納エミリ、脇田もなり、KOTO、SAKA-SAMA

加納エミリ 商品情報

発売中
『EP1』

EP1

加納エミリ公式オンラインショップ、ディスクユニオンにて発売中。
また大阪ではハワイレコードでも取り扱い決定!


2月13日リリース

「ごめんね/Been With You」7inch盤
NRSP-755

No image

加納エミリ公式通販のほか、HMV、タワーレコード、各レコードショップにて発売予定。
リリースイベントも開催決定!

 

 

PROFILE

PROFILE
加納エミリ

1995年生まれ。北海道出身。2018年5月にデビュー。
19歳から楽曲制作を始め、作詞・作曲・編曲などを全て自らで手がける。80年代ニューウェイヴ・テクノ・インディーロックなどをルーツとした楽曲を完全セルフ・プロデュースで制作。2019年1stアルバム「GREENPOP」、2020年アルバムからのカットで12インチ・シングル「恋せよ乙女」をリリース。