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2022.05.13
Rhodanthe*

Rhodanthe* 5月8日(日)、横浜・ぴあアリーナMMにて開催された 『Rhodanthe* Music Festival 2022 大感謝!!』 笑顔と涙のラストステージ、ライブレポートをお届け!!

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2013年7月にTVアニメ『きんいろモザイク』のメインキャラクターを演じるキャストによって結成された声優ユニット「Rhodanthe*」。約9年にわたる活動期間を経て、2022年5月8日に卒業の時を迎えることになった。これまでたくさんの笑顔をくれた彼女たちの卒業式の舞台となったのは、横浜・ぴあアリーナMM。西明日香、田中真奈美、種田梨沙、内山夕実、東山奈央、そして2019年から加入した諏訪彩花のメンバー6名が集結し、ソロ曲やデュエット曲を含む全49曲(※「おたんじょうびのうた」、インスト曲「Overture」も含む)を、約4時間のライブで披露した。
 ユニットとしての活動期間は長いRhodanthe*だが、単独公演を開催するのは2016年1月1日に東京国際フォーラム ホールAにて開催された「Rhodathe* New Year Concert 2016 FIRST MODE」以来、実に6年ぶり。いろいろな意味で伝説となった元日ライブではいくつもの名場面が生まれたが、内山のソロ曲「全開マジカルパワー」でバックダンサーとして登場した西&種田がセンターの内山よりも目立ってしまったのは今でも語り草となっている。それを踏まえて、今回は同曲を歌う前のMCの途中で「お邪魔虫は下がりましょうか」と言って、ステージから下りる2人。とはいえあっさり引き下がるわけもなく、曲の途中でポンポンを持って楽しそうに乱入し、内山の元気な歌声と共に会場を大いに盛り上げた。また、東山のソロ曲「祭りデス☆クリスマス!!」でも元日ライブと同様に田中&諏訪がサポーターとして参加。さすがに今回は和太鼓こそ叩かなかったものの、東山とおそろいで法被を着た2人は手作りのメッセージ入りうちわを持って東山を一生懸命に応援していた。

 今回ならではの趣向で面白かったのは、西のソロ曲がメドレー含めて3曲続くパートでの出来事。「憧れパラダイス」の途中でドラムのスティックをいきなり奪って、バンドの楽器をたたいたり遊び出したかと思えば、「ちょっとイギリスに行ってきまーす!」と言ってステージを後にする。次の「いろどりポインセチア」は舞台の両脇に設置されたモニター画面に映し出されたロンドンからの中継映像(?)の中で歌いきり、「こがねいろハーベストムーン」では画面を飛び出して舞台裏ツアーを敢行。そんな西の様子を追うカメラマンからカメラを奪う諏訪、歌詞のカンペを出す内山(しかも歌詞は内山の手書き!)、西にポンポンを手渡す種田、なぜか自撮りをしている東山、マイクのボリューム等を調整する卓を勝手にいじる田中と、途中で合流したメンバーを引き連れ堂々とステージに帰還した。

 こうした面白要素もふんだんに取り入れてくれるのがRhodanthe*の魅力だが、もちろん歌やダンスのパフォーマンスに対しては真剣そのもの。中盤を過ぎたところで……と言っても、通常のライブであれば終盤に差し掛かるような曲数と時間が過ぎていたが、それでも勢いが衰えることなく6人曲ではぴったりと息の合った歌やダンスを見せてくれたし、ソロ曲ではそれぞれのキャラクターをほうふつとさせるようなパフォーマンスを繰り広げていた。セットリストには入っていないが、ライブ当日に誕生日を迎えた烏丸先生役・佐藤聡美と会場にいる5月8日が誕生日の人のために「私たち、何もあげられるものないから歌を歌うよ!」と言って、お誕生日の歌をアカペラで披露。なお、佐藤は久世橋先生役の大西沙織と共にメッセージVTRやオープニングのアナウンスでライブに花を添えていた。後半に差し掛かり、MCで突然「いいニュースと悪いニュースがあるんだ」と西が切り出す。悪いニュースは、もうライブが終盤に近づいていること。そして、いいニュースは田中から発表されることに。
「私たち、何もあげられるものないから、ここでまさかの新曲を歌うよ!」

 思いがけないサプライズに、会場からはどよめきと盛大な拍手が巻き起こる。「何もあげられるものないから」どころじゃない、最高のプレゼントがここで用意されていた。「卒業のフェスということで、寂しい思いを抱えている方もたくさんいらっしゃると思います。もちろん私たちもすごく寂しい気持ちでいっぱいなんですけれども、皆さんへの感謝の気持ちを込めた歌を最後に贈りたいなという話が今回実現しました」(西)

 メンバーの思いを込めて、この日のために用意された新曲「Smiling Bouquet」は、きっと会場にいる、そして配信で見ていたファン一人一人の心に響いたことだろう。アンコールでは原作者の原悠衣がライブパンフレットのために描き下ろしたイラストをもとにした新衣装で登場。改めてメンバーから卒業に向けての思いが語られ、この9年間は彼女たちの人生にとって特別な、かけがえのない時間だったことがそれぞれの言葉からしっかりと伝わってきた。最後に順番が回ってきた西は感極まって涙を流し、ラストらしくしんみりとした雰囲気になってきたが、最後だからこそ、最高の笑顔を6人は見せる。劇場版『きんいろモザイク Thank you!!』のエンディングテーマ「Thank Youfor Your Smile」でゴールまでたどり着いた……かと思いきや荘厳な音楽が流れ出し、劇場版と同じくイギリス第二の国歌ともいわれる愛国歌「Land of Hope and Glory」でグランドフィナーレを迎えた。

 すべての楽曲を歌い終えた後も別れを惜しむかのように、会場を埋め尽くす大勢のファンに向かって何度も何度も手を振る6人。最後はステージセットの上段に上がって、6人で手をつなぎ、マイクを通さない生の声で「ありがとうございましたー!!」と感謝の言葉をファンに届ける。と、ここできれいに終わらないのがRhodanthe*のRhodanthe*らしいところ。メンバー誰一人としてステージから下りることができず、すっかり帰るきっかけを見失ってしまう。そこで種田の提案で「原先生と今日来てくださった皆さん、配信で見てくださった皆さんへ大感謝」のお辞儀をすることになり、一斉に「大感謝!!」と声を合わせて深々と頭を下げる。ほかのどんな声優ユニットにも真似できない、まさにRhodanthe*にしかできない終わり方で卒業していく6人の姿はいつまでも我々の記憶に残るに違いない。

(テキスト:仲上佳克)

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