Speak emo

2020.04.30
かんたんふ

西園寺未彩(かんたんふ):早めに活動休止して、苦しむ人を増やさない方がいいなって思いました

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今年1月31日、セルフプロデュースで活動するアイドルグループ「かんたんふ」は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に対するWHOの緊急事態宣言を受けて、「すべてのイベント出演をキャンセル」する旨をツイッターで表明した。

 

WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を発令したのは1月30日のこと。そして、かんたんふからの上記のツイートは1月31日8時36分に投稿されており、時差などを勘案すると、その対応はWHOの宣言から間髪を容れずに成されたと言えるだろう。

 

ちなみに、中国の武漢が都市閉鎖されたのは1月23日のこと。この頃は「中国が大変なことになっている」と不安を覚えたものの、まだ“対岸の火事”と認識していた人がほとんどであっただろう。厚労省が発表した1月31日時点での日本国内感染者数は11人であり、死者は0人。渡航者による感染がわずかに見られたものの、巷のムードはまだ“自粛”には程遠いものだった。

 

2月3日ダイヤモンド・プリンセス号が横浜に停泊したことで“対岸”ではなくなり、2月16日に大阪のライブハウスで感染が発覚されてからは音楽/エンターテインメント業界にも自粛の気運が徐々に生じてきたが、まだまだ多くのライブが“決行”されていた。その後、学校への休校要請や様々な業界への自粛要請が出されていったが、日本政府による7都府県への緊急事態宣言が発令されたのは、ようやく4月7日のこと。そういう意味では、かんたんふは、日本政府に2ヶ月以上先んじて自らとそのファン、そして音楽業界へと向けて“緊急事態宣言”を出していたのだ。

 

かんたんふがいち早く出した“宣言”は、当時は好奇の目で見られていたことだろう。高齢者と同居する筆者も人一倍感染対策を心掛けていたつもりだが、それでもこの時期は(もちろんマスクや消毒液などで防備しつつだが)ライブ現場を訪れ、取材なども通常通りに行なっていた。ゆえに彼女たちの対応は「少し過剰ではないか」と感じていたのが正直なところだ。

 

だが、かんたんふの下した判断が今大いに評価されている。彼女たちの対応がいかに有効なものであったか、彼女たちにいかに先見の明があったか。現在の感染状況を見れば、それは明白であろう。

 

ちなみに、こうした運営的な判断を下していたのは、グループの中心人物である西園寺未彩だ。メンバーの出入りが少なくなかったこのグループにおいて、やはりStereo TokyoやReLIeFといったグループで経験を積んだ西園寺未彩が主導的立場に就いたのは、自然な流れであろう。“精度の高い予測”も“適切な判断”も彼女に負うところが大きい。

 

そんな彼女が、かんたんふの体制を整え、音楽性も軌道修正しながら、再始動の準備に入っているという。新生“かんたんふ”としていよいよ動き出そうというのだ。

 

誰よりも意識の高い彼女が、感染対策に万全を期しながらも、こうして新たな活動を始める。現在の自粛ムードの中、音楽業界に限らずエンタメ界隈全般において、様々な工夫を凝らしながら活動に取り組み、人々に元気や癒しや希望を届けようとしている表現者たちは少なくない。そんな中、感染防止の重要性を自らの活動を犠牲にすることで訴え続けてきた西園寺未彩が、感染対策の手を緩めることなく、こうして“現場”に戻るという判断を下したことは、そろそろ自粛疲れの影響が出てきそうな我々にとって、ひときわ輝く“希望の光”となることだろう。

 

ひとつ付け加えるならば、彼女のコロナ禍への対応に鑑みずとも、ほんの少しだけ試聴させていただいた新曲そのものが、大きな期待を抱かせてくれる意欲作だったことは言明しておきたい。

 

かんたんふの西園寺未彩にお話を伺った。“新生かんたんふ”に関する最も早いインタビュー。もちろん“STAY HOME”を遵守し、オンラインにて行なった。

 

 

 

 

 

 

出たらすぐに“宣言”できるように文面を考えておいたんです

 

 

――かんたんふは、というより西園寺さんは、新型コロナウイルス感染対策に誰よりも早くから取り組まれていましたよね。

 

 

西園寺未彩(以下:西園寺):いえ、世界的に見るとそんなに早くないです。

 

――それこそ1月31日の時点で「WHOの緊急事態宣言を受けて、すべてのイベント出演をキャンセルさせていただきました」というメッセージをツイッターで出されています。それ以降はライブもイベントも一切やってないですよね。それからは公の場には出ておられません。ライブも結局1月25日六本木VARIT.での主催ライブが最後でした。

 

西園寺:はい。

 

――いや、でも早くなかったですか? あの時点でそういう対応したグループって周りにいなかったと思います。

 

西園寺:最初はちょっと笑われてましたね。

 

――過剰反応じゃないか、と?

 

西園寺:はい。でも、どのグループも濃厚接触に含まれるライブ活動はやめなきゃいけなくなる日が来るのは分かっていたので、「いいんじゃない、勝手に言ってれば」って感じでした。

 

――それが今すごく評価されていますよね。

 

西園寺:どうなんだろう。そもそも「かんたんふ」自体知名度がないので…。多分知名度があれば「すごいすごい」ってなってたかもしれないですけど…。

 

――でも、アイドル界はもちろんエンタメ業界全体を見渡しても相当早かったんじゃないですか?

 

西園寺:メンバーに中国出身の子がいるんですよ。

 

――朱亞(しゅあ)さんですよね。

 

西園寺:(編注:活動休止前最後の出演となった)1月25日のライブ裏でも朱亞ちゃんは「母国がこんなに大変なことになってるのに私は何もできない」って泣いてて…。そういうのを見たり聞いたりしているのもあって「本当に大変なことになるんだ」って感じてました。その時点では日本はまだそこまで深刻な状況ではなかったんですけど、そうなっちゃう可能性もあると。1月半ばにまずその情報を初めて知ったんです。新しい肺炎が流行ってる、と。その時は「そうなんだ、こわっ」ぐらいしか思ってなかったんですけど、ウイルスのことをちゃんと調べて理解できたのが、1月の末で。

 

――ご自分で調べられたわけですね。

 

西園寺:そうです。「どんなウイルスか」とか「これから先どうなるのか」といったことを考えておかなきゃいけないじゃないですか、私たちは。人前に立つわけですし、いろんな人と会いますし、ライブ活動がメインで濃厚接触のある空間にいるわけですし。どれぐらい怖い病気なのかっていうのを分かっておかなきゃいけないので、いろいろと調べてみると、世界中で感染者が出ることは確実だと思って。日本もそうなるから「今後は防護服とかでライブするのかな、いや、それはちょっと無理かな」とか考えて、「じゃあ、活動を一旦やめましょう」ってことになりました。

 

――その時点では、巷では「怖いな」「中国は大変だな」といった空気はありましたが、まだ“対岸の火事”といった感じでした。アイドルの皆さんも通常通りライブをやられていましたし…。切実な問題として捉えていた人は、少なくとも音楽・エンタメ業界ではほとんどいなかったんじゃないかと思います。 でも、その時点で「ライブ活動休止宣言」を出されたというのは、やはり中国出身の朱亞さんが身近にいらっしゃって、身近な問題と捉えていたからですか?

 

西園寺:もちろんそれもありますが、でも、そういう存在がいなくても絶対やってました。

 

――いなくてもやってました?

 

西園寺:はい。

 

――というのは、ご自身で調べて、ご自身で恐怖を実感していたから?

 

西園寺:そうです。このCOVID-19自体をちゃんと理解したら、自分や身近な人が発症する恐ろしさとか、どこまで広がる可能性があるのかとか、誰もが他人事では済まされないってわかると思うんですよ。普通にファンの人と直接会う「ライブ活動はできなくなる」って分かりましたし、いずれみんな対面式のイベント活動が止まるのは分かっていたので、だったら早めに活動休止して、苦しむ人を増やさない方がいいなって思いました。

 

――そうやって詳しく調べられたのは、そもそもそういう性格なんですか? それとも運営としての責任を感じてとか?

 

西園寺:未彩は目に見えない嫌なものが一番怖いんですよ。“人の悪意”とかそういう目に見えないものが。ウイルスも目に見えない嫌なものじゃないですか。なので、すごく怖くて…。分からないものを理解しないと怖すぎて何もできなくなっちゃうので、調べて理解しました。理解する前はちょっとパニックだったけど、理解してからは「こういう対策をしていればある程度は大丈夫」って思えるから、安心するために自分で調べました。

 

――その時点では、周りにそれだけ意識の高い方ってそんなにいらっしゃらなかったんじゃないですか?

 

西園寺:その時は普通に馬鹿にされてました。お友だちとかには連絡して「こうこうこういうことに今後なっていくからホントに危ないよ」とか「人と接触する場所には行かないほうがいいよ」って言ってたんですけど、仲良しでもちょっとオーバーだと思ってる人はいたと思います。

 

――で、1月半ばから調べ始めて、1月末には「活動休止宣言」。早いですね。

 

西園寺:1月末に「この先間違いなく大変になる」って完全に理解して、そのうちWHOが緊急事態宣言を出すというのは分かってたので、出たらすぐに“宣言”できるように文面を考えておいたんです。なので、WHOから出たタイミングですぐに“活動休止宣言”を出した、そんな感じです。

 

――かなり用意周到だったわけですね。

 

西園寺:はい。未彩は、1月25日のライブの時も「ここでも感染とか有り得る」と思ってすごく怖かったんですよ。多分あのときあの場で本気で危機感を持っていたのはかんたんふのスタッフさんと未彩と朱亞ちゃんくらいだったんじゃないかと思います。

 

――その日のライブは映像で拝見しました。

 

西園寺:ホントに怖くて。「サングラスとマスクして出る?」という話をしたんですけど、マスクをしちゃうと顔が分からないし、声も出ないし、それはちょっと駄目だなってことでマスクはやめて、まあ、曲のイメージにも合ってるから「サングラスならいいかな」ってことになったんです。かんたんふのスタッフさんが入り口で、お客さん一人一人にマスク配布と手に消毒液シュッシュして、あの時点で出来た感染予防は万全で開催しました。そういった対策に「ありがとう」「助かる」と言ってくれる人も少数居ましたが、その内手に入りづらくなるとわかっている中で配布した貴重なマスクを、顎マスクにしてたりつけてくれない人も居て悲しかったです。命は過保護すぎるくらい大事にして欲しいなと思いました。

 

――なるほど。でも、やはりその時点でそこまで意識の高かった人っていうのはほとんどいなかったでしょうね。僕も高齢の母と同居しているので、ものすごく気を遣っていて、今年に入ってから電車には一度も乗っていないですし、人混みも避けていましたが、でも、仕事関係で3月末のライブは観に行ってました。3月上旬ぐらいまでは対面でマスクも外して取材もしていましたし。そういう意味でも、西園寺さんは現状把握と状況予測の能力がすごいですね。

 

西園寺:でも、これからのほうが大変だと思います。感染者が増えるとか、亡くなる方が増えるとかもそうなんですが、コロナ終息後の経済の落ち込みをどう立て直していくかが課題になると思います。

 

――すごく考えられてますね。これまでの運営としての取り組み方や書かれた文章などを見たりして、「この人はちょっと違うな」って思っていたんですが、やはり鋭い感性をお持ちですね。芸術的な観点からだけでなくて。こういう方がたくさんいれば、感染拡大なんてしないですね。

 

西園寺:そうだといいんですけど、それだけじゃ通らないことがたくさんあるのも分かってます。人が止まると物も止まっちゃうので、そうなれば潰れる会社も相当あるだろうなって。すごく不景気になると思います。もうなってると思いますが。

 

 

 

取材・文
石川真男

 

 

かんたんふ配信情報

Hakuna Live(ハクナライブ)で5/1(金)から曜日別メンバー日替わり配信が始まります。
    
月:朱亞
火:みこ
水:みさ
木:のん
金:のあ
基本的に20:00~
(最低30分間 ※~22:00)

    
ハクナライブアプリダウンロード

iPhone https://apps.apple.com/jp/app/id1384325538
    
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PROFILE

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かんたんふ

『可愛くキャッチーなエレクトロシティポップで、あなたの心へかんたんふ!かんたんふ!か・ん・た・ん・ふー!!』

2020/5/1より活動開始のアイドルグループ。

朱 亞(しゅ あ)

担当カラー:パープル

誕生日:10/19

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趣味・特技:中国語、英語、旅行、書道

永峰 みこ(ながみね みこ)

担当カラー:ピンク

誕生日:9/11 

Twitter▶︎ @kantanfu_miko

好きな言葉・座右の銘:「感謝」

趣味・特技:メイク、お菓子作り、ピアノ

西園寺 未彩(さいおんじ みさ)

担当カラー:イエロー

誕生日:6/23

Twitter▶︎ @kantanfu_misa

好きな言葉・座右の銘:「まいにちはなまる」

趣味・特技:オカリナ、新体操(リボン)、ヒヨコを眠らせる、洋裁、料理

武石 乃音(たけいし のん)

担当カラー:グリーン

誕生日:2/18

Twitter▶︎ @kantanfu_non

好きな言葉・座右の銘:「奇跡は手作り」

趣味・特技:ベリーダンス、メイク

染井 のあ(そめい のあ)

担当カラー:ブルー

誕生日:10/11

Twitter▶︎ @kantanfu_noa

好きな言葉・座右の銘:「継続は力なり」

趣味・特技:食べること、ウィンドウショッピング、縄跳び