Speak emo

2020.04.21
Nao☆

Nao☆|「SCOOBIEさんに負けられない」と思いながらレコーディングしました

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Nao☆の新曲がとてもいい。

 

今や全国区の知名度を誇る新潟発のアイドル・ユニット、Negiccoのリーダーとして永きに亘り活動してきたNao☆。2019年4月10日に入籍し、“現役アイドルの結婚”として大いに注目され、それが快く歓迎されたことでも話題となったが、昨年そんな“新たな生活”をスタートさせたNao☆が、2020年4月さらなる“新たなスタート”を切った。

 

2018年に結成15周年を迎えたNegicco。2019年はKaedeがソロ活動を本格化させ、Meguは自身で立ち上げたブランド“CURRY RICE RECORDS”の企画で30人のクリエイターにデザインを依頼し、30種類のTシャツ展を企画したり、今年3月にはさらなるオリジナルブランド“Life to meet you!”を立ち上げるなど、個人活動が活発となってきたが、残るNao☆は比較的「マイペースで」一年を過ごしていたようで…。だが、いよいよNao☆も精力的に動き出した。しかも心躍るグルーヴをたたえた極上のソロ・シングルを引っ提げて。

 

表題曲「ベスト☆フレンド」は、SCOOBIE DOのギタリスト、マツキタイジロウが作詞作曲を、SCOOBIE DOの面々が編曲及びサウンド・プロデュースを手掛けたSCOOBIEらしいファンキー・チューン。一方カップリングの「rainy~next season~」は、Nao☆自身が作詞を、Keishi Tanakaが作曲及びサウンドプロデュースを手掛けた、しなやかにスウィングするビートが印象的なナンバー。いずれも、これまでのNegiccoにはないタイプのダンスミュージックであり、Nao☆自身としても新たな挑戦となる“新機軸”と言えるものである。

 

不思議なのは、Nao☆が新たな領域へと足を踏み入れたことを明確に示す2曲でありながら、Nao☆が歌うと紛れもない“Nao☆の歌”になっていることだ。さらに言えば、様々なスタイルの楽曲を歌ってきたNegiccoの引き出しにも無い曲調でありながら、やはりNao☆が歌うとNegiccoをも感じさせるのだ。こうした歓迎すべき“矛盾”が生じている要因の一つには、やはり彼女の特徴的な歌声が挙げられるだろう。

 

Nao☆の歌声は、伸びやかな響きをたたえつつも、決してズケズケと心に踏み入ってくるようなものではなく、少し距離感を保ちながら響いてくるような印象がある。むしろ、そうした距離感が聴き手のイマジネーションを膨らませる余地になっているのではないだろうか。例えば、面と向かって歌い掛けてくるというより、隣に並んで歌っていて、聴き手は声がスーッと発せられるのを隣りで感じているといったような…。だが、メロディが跳躍する時などにフーッと近づいてきたりすることで聴き手の心を揺さぶるのだ。

 

そんな彼女の歌声が、SCOOBIE DOが巻き起こすいなたくて生々しいグルーヴや、Keishi Tanakaの紡ぎ出す小粋なスウィングビートと対峙しているのが、このシングルの妙味であろう。見事な調和を見せながらも、決して“相手の色”に染まるのではなく、がっぷり四つに組み、むしろ相手を染め返そうとさえしているかのような…。そんな心地好い“せめぎ合い”が感じられるのだ。

 

Nao☆に新曲についてたっぷりとお話しを伺った。

 

 

 

 

 

自分はやはり歌が一番好きなので「ソロで歌うことができたら」という気持ちは強かったです

 

――昨年ご結婚を発表した際、「31歳でまた新しい1つのスタートを切りたいと思いました」とコメントされていました。まぁ、人生の大きな節目ですから、もちろん“新しいスタート”ですが、その1年後となる4月7日にソロ・シングル「ベスト☆フレンド」をリリースされました。これもまた“新しいスタート”という感じでしょうか?

 

Nao☆:はい。これも新しいスタートですね。カップリング曲が「rainy~next season~」で、生誕記念イベントのタイトルも「32nd Anniversary Live~Second Season~」(編注:新型コロナウイルスの影響で4月4日から6月24日へと延期となった)だったんですが、そういう気持ちでタイトルを付けさせていただきました。

 

――2年前にリリースされた「菜の花」は、“生誕企画もの”という要素が強かったですよね?

 

Nao☆:「Nao☆」という自分の名前から取った「菜の花」というタイトルが先に決まっていて、「菜の花」というタイトルに合せた、春を感じるような楽曲を北川勝利さんに作っていただいて…。なので、“30歳の記念”ということで作らせていただきました。

 

――では、それに比べると今回のシングルリリースは“本格的なソロ活動”と捉えていいのでしょうか?

 

Nao☆:昨年は結婚して、“新しい人生”を1年間マイペースでやらせていただいたんですが、そんな中、今年2020年から自分もソロとしても活動できたらいいなと思っていたんです。「どういう楽曲で」「どういう方向性で」とかを考えて楽曲をお願いしたりとか…。

 

――昨年1年間は「マイペース」で活動されたとおっしゃいましたが、でもNegiccoとしても、個人としても、いろいろ活動はされていた印象でした。「マイペース」という感じでもないような…。

 

Nao☆:私からすれば結構マイペースでやらせてもらった感じでした。時間も沢山いただいて、自分のペースでやらせていただきましたね。

 

――趣味とか自分磨きとか、そういったことに充てる時間が結構あったんですか?

 

Nao☆:そうですね。一昨年の15周年の時はNegicco1本でダーッとやってきたので、31歳はちょっと、西野カナさんが「自分の時間を取りたい」っていったみたいな感じで、自分もマイペースで活動させていただきました。

 

――具体的に何をされていたんですか?

 

Nao☆:「のんびりしてた」しか思い浮かばないです。でも、絵を描いたりとか、自分の趣味の時間も結構作れたかなという感じでした。そのおかげで、昨年アートブック『nanohana*book』を出させていただいて…。好きなことを1冊の本にさせていただくことができましたね。

 

――その「のんびりした時間」の中で、ソロ活動に関してもいろいろ考えていたということですか?

 

Nao☆:「来年できたらいいな」という風には思っていました。ただ、Kaedeのようなペースではできないと思っていたので、自分なりにソロができれば…。今Negiccoはそれぞれが個人でいろんな活動をしてるんですが、自分はやはり歌が一番好きなので「ソロで歌うことができたら」という気持ちは強かったです。

 

――別の雑誌でKaedeさんにインタビューをさせていただいたんですが、その時に、Negiccoは毎年個人面談をやっていて、「Negiccoを続けていく意思はありますか?」みたいな“確認”があるとのことおっしゃっていました。で、そうした“面談”の時にKaedeさんは「ソロ活動を本格的にやりたい」といった話をされたようですが、Nao☆さんもそういう意思を表明してたりしてたんですか?

 

Nao☆:表明というか、一昨年の秋には「ソロとかどう?」といったお話もしてもらっていたんですが、「2019年はちょっとマイペースで、2020年から生誕でCDを出して、1人でもライブをやったり、個人で歌をもっと重点的にやっていきたい」といった話はしていましたね。

 

――ということは、今回のリリースは「念願の」という感じですか?

 

Nao☆:そうですね。Kaedeのソロ活動とか見ていると、Kaedeもすごく成長してるのを一緒にいて感じましたし、一人でCDを出したり、自分の曲だけでワンマンライブをやったり、というのを見ていると、やっぱりちょっと羨ましい部分もあったり…。自分は自由な時間をいただいていたんですが…。でも、それを考える時間があったので、やりたいという気持ちが強くなったんだと思います。その間にいろんな人の作詞を研究したりして…。

 

――今ちょっと時期が時期ですので、なかなか先が見えない部分もあると思いますが、でも、ソロでライブをやったり、さらにシングルを出したり、楽曲を作ったり、といったことも構想しつつの今回のシングル、という感じですか?

 

Nao☆:そういうこともやっていきたいなという気持ちは伝えています。はい。

 

――以前から「ソロをやりたい」という気持ちはあったんですか?

 

Nao☆:それまではNegicco以外の活動は考えてなかったです。

 

――そうなんですね。Nao☆さんがシングル出すということで、「やはり来たな」という印象を僕は受けたんですが、ご本人としては「ずっと前々から」という感じではなく、そういう気持ちが明確になったのは昨年ぐらいから、と。

 

Nao☆:そうですね。Kaedeがソロで歌うようになってから、Negiccoも個人でやりたいことをやったり、特技を伸ばしていったり……そういったことができるんだって分かりました。でも、みんな大人になっていくにつれて、今までとは違う厳しいこともあると思うので…。なので、そうやって大人になってもいろいろやらせてもらえるのはありがたいですね。

 

――「厳しいこと」というのは何でしょう?

 

Nao☆:「厳しい」というか…。やはり「結婚してアイドルを続けられるのか」というが気持ちがまずあって、「結婚を発表したら活動がどうなるのか」っていうのも分からなかったですし…。なので、私が少し休憩してる間に、Kaedeがソロ活動したりとか、Meguがブランドを立ち上げたりとか、そういうことがあって、それもあり得るんだなというか。数年前までは、3人じゃなきゃ活動できなかったんですよ。取材もテレビ出演も3人じゃないとだめだったので、こうやって個人で活動していくというイメージができなかったというか。

 

――でも、こんなに温かく迎えられた“現役アイドルの結婚”というのは前例がなかったんじゃないですか? ご結婚後も変わらず、すごく自然に活動をされている感じじゃないですか。それがすごく素敵だと思います。

 

Nao☆:本当にありがたいことに、お祝いのコメントとかいっぱいいただいて、ファンの方も今も応援してくれているので、ファンの方とNegiccoとの信頼関係というか、それがあってこそなんだなという感じがします。

 

――僕の知る限りでは「Nao☆さん結婚したからもうファンやめる」っていう人はいないように思います。

 

Nao☆:そうですか?(笑) ありがとうございます。正直「いなくなっちゃう人もいるだろうな」と覚悟してたんですけど、でも皆さん「結婚しても応援してるよ」「ずっとファンでいるよ」って言ってくださったので本当にありがたいです。「Negiccoをずっと頑張ってきてよかったな」って思いました。

 

 

取材・文
石川真男

 

 

Nao☆ 商品情報

 

Nao☆生誕記念ニューシングル

「ベスト☆フレンド」

ジャケット写真

《CD》
品番:TPRC-0254
価格:¥1,000(税抜)

〈収録内容〉
M1. ベスト☆フレンド 作詞作曲:マツキタイジロウ(SCOOBIE DO) 編曲:SCOOBIE DO
M2. rainy~next season~ 作詞:Nao☆ 作曲:Keishi Tanaka 編曲:Keishi Tanaka, George (Mop of Head)
M3. ベスト☆フレンド(inst)
M4. rainy~next season~(inst) 
 

 

 

 

PROFILE

PROFILE
Nao☆

Negiccoリーダー。

作詞やグッズイラストのデザインを手掛ける他、プライベートで書き溜めた絵や趣味で自作したアクセサリーをまとめたアートブック『nanohana*book』を出版するなど、多岐に渡る活動を行う。
2018年には初のソロシングル「菜の花」をリリースし、
2020年4月には2ndシングル「ベスト☆フレンド」をリリース。

公式サイト: http://negicco.net/