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2019.08.23

STELLABEATS|「STELLABEATS versus 明くる夜の羊」 秋葉原の夜に響く新たなる鼓動

8月も終盤にさしかかろうとしている。この日、わずか1ヶ月たらずでステージをむかえる新人アイドルがいるとあって、秋葉原CLUB GOODMANに駆けつけた取材班。それは彼女たちにとって新体制でむかえる初のステージにして、初の主催ライブ。彼女たちの名はSTELLABEATS。我々は新生STELLABEATSが新たなスタートを切る現場に立ち会った。その一部始終をおとどけしたい。

STELLABEATS

静寂を切り裂くイントロからの期待を裏切らない王道メロディー

 

暗闇の中、厳(おごそ)かなシンセメロとともに、3人の少女がステージに姿を現す。そして次の瞬間、1曲目『ストレートラインズ』の軽快なイントロが静寂を切り裂いた。同時に、待ってましたとばかりに、観客たちのMIXが入る。

0.1秒でわかる安心感がそこにはあった。期待を裏切らない王道のアイドルソング。しかも楽曲のクオリティーが高い。そしてそれが、そもそもユニット名表記変更前の時代から抱いていたSTELLABEATSのイメージでもあったし、現にこうしてまた新しい時間をともできていることに満足感を覚えずにはいられなかった。

星が消えるように、日々解散続きのこのライブアイドル業界だが、やはりアイドルユニットという存在は終わらせてはいけないのだ。それはファンにとってひとつのストーリーであり、ともに紡(つむ)いでいくものなのだ……。などと感慨にふける間にも、濃縮された時間は光の速さで過ぎ去っていく。

それにしても堂々たるパフォーマンスである。1曲目のイントロでメンバーカラー青色の橋爪愛花(はしづめ あいか)が、勢いあまってマイクを盛大に飛ばしてしまうハプニングもあったが、そこはご愛嬌(あいきょう)。意識の通った振りの躍動感といい、表情といい、とても初めてのステージとは思えない。赤担当の宮園奈那(みやぞの なな)はMC担当だろうか、トークをリードする。また、黄色担当の石原花鈴(いしはら かりん)は踊りながら常に笑顔なのが印象的だった。

わずか1ヶ月でここまでもってくるとは、プロデューサーやスタッフ陣の支えもあってのことだろう。そう、メンバーは3人だけではない。スタッフもふくめてメンバーと考えるべきで、そのチームワークがあってこそのユニットであることを忘れてはならない。そして、最後のメンバーがファン一人ひとりなのだ。

ファンもSTELLABEATSを受け継ぐ一員として、定番のナンバーが聞こえてくれば新しい3人を後押しするように、寸分違わずコールやMIXを入れてくる。まるで針の穴に糸を通すような正確なパス、いや、コールアンドレスポンスが展開されている。アイドルイベントを初めて観る人が、どこを観ていいかわからず驚く、という、まさにその光景が高い順応性によって再現されていた。きっとファンもこの日を待ちに待ったことだろう。

STELLABEATS

アイドルとバンドとファンの三位一体それはまぎれもなく「ガチ」の共演

 

1曲目を観て、筆者の第一印象は「おー、ちゃんとしてる!」だった(失礼!)。しかし、もはやそんなレベルではない。自己紹介MCの堂々っぷりしかり、週1のレッスンであれば、1年はやっていそうなレベル。そう言われても筆者は疑いもしなかっただろう。ピッタリとシンクロしたダンスの振りを見る限り、おそらくこの1ヶ月、3人ともに夏休み返上で、死にものぐるいでレッスンに臨んだに違いない。決して物怖じすることもない、自信に満ちあふれた3人の少女たちの堂々とした姿がそこにはあった。

続く『ヘヴンリースランバー』『Fantastic Traveller』で、早くも会場の熱気が最高潮に達する。いずれも沸かせる曲だ。立て続けに激しい曲が続き、相当な体力を消費したに違いない。3人編成という少人数な分、ステージをいっぱいつかって魅せよう、となるし、活動1ヶ月目であれば、これだけの移動と運動量があるダンスは2曲、3曲でかなりきついはずだ。だが、そこは新生STELLABEATS。スタッフふくめ妥協を感じさせない。ごまかし一切なしの完全生歌はもちろんのこと、ラスト2曲は生バンドでのパフォーマンス。だが待ってくれ、結成一ヶ月弱、デビューの日だというのにいきなり生バンドで、って本当に大丈夫なのか!?

ラスト2曲は『SHOTGUN SALINGER』『CHEDDER CHEESE MELT』を続けて披露。さすがに、「演奏の音に負けてしまうのではないか……」、そんな筆者の心配をよそに観客に向かって想いをぶつけてくる3人。さすがに“粗い”ところもあったが、ガチで望んでくれていることには、むしろ好感すら感じた。

最後に1つだけつけくわえると、ここのユニット(チーム)は少数精鋭のスタッフでしっかり彼女たちをサポートしていて、だからこそ期間的に厳しくとも、濃密な時間を過ごすことで不可能を可能にしてきたのだと思う。実際、プロデューサー自らが司会進行でたびたび顔を出すシーンも見られた。彼らのおかげで、我々もこの幸福な時間を共有できているのだ。ユニットとは、メンバーとは、ファンとは、必ずしも長くをともにしてきたことが重要なのではない。大切なのは、これから紡いでいくストーリー。そのワクワクがいまから始まろうとしている。今回のライブを観て、そのことを実感した。

 

 

【PROFILE】

2014年12月結成。2018年の所属事務所移籍を経て、2019年8月より新体制としてグループ名表記を変更。事実上の再出発となる。楽曲は新進気鋭の4ピースバンド「明くる夜の羊」が提供。

 

Twitter @stellabeats2014

HP https://stella-beats.com/

YouTube https://www.youtube.com/channel/UCfykaXBPozjE4s_q6fHl9lw/featured

 

【INFORMATION】

■LIVE:「#HNGSONIC2019-夏-」(8/28[水]・29[木] 会場:Nagoya ReNY limited、Nagoya CLUB QUATTRO)出演予定。「イケてるハーツ主催ライブ」(9/8[日] 開場13:00/開演13:30 会場:赤坂ReNY alpha)出演予定。

 

【セットリスト】
1. ストレートラインズ
<MC>
2. ヘヴンリースランバー
3. Fantastic Traveller
4. SHOTGUN SALINGER(バンド生演奏セッション)
5. CHEDDER CHEESE MELT(バンド生演奏セッション)
<MC>
<明くる夜の羊 バンドパート>
EN. SHOTGUN SALINGER(バンド生演奏セッション)

 

 

取材・校正◎佐藤 瞳 文◎名原広雄 写真◎河田 楓

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