Speak emo
「この6人でこれからやっていくんだ」っていう気持ちが自分の中ではっきりしました
3月24日に行われた新体制お披露目ミニワンマンライブ『新型感染』では、染脳ミームの“未来”が見えた。
新加入の2人のメンバーは、既にグループに溶け込んでいるのみならず、自身の個性をも垣間見せた。アイドル経験のある糸飴キセは歌い出しやセンターを随所で任され、並々ならぬアイドル性の片鱗を覗かせた。アイドルとしてステージに立つのは初めてだったという書庫りり子は、そのユニークなキャラを発揮しつつも、堂々たる立ち居振る舞いによってステージ上にある種の安心感をもたらしていた。もちろん初期メン4人も大きな進化を見せていた。とびきりの笑顔と躍動感に満ちたパフォーマンスでオーディエンスを魅了するおきんとん。歌やMCでその高いスペックを発揮しながらグループを引っ張る夏目鳳石。脱力系アニメ声とキレッキレのダンスとのギャップが不思議な魅力を放つ+あむ+。その独特の佇まいと身のこなしで只者ではないオーラを醸し出す乃依ねお。新旧メンバー6人ががっちりと噛み合い、それぞれの個性を生かしながらも一体となってショウを推し進めていく様に、大いなる可能性が感じられたのだ。
だが、本インタビューで語られているように、各メンバーにとってそれは決して満足のいくものではなかったようだ。「ただこなすのが精一杯だった」といった趣旨のことがメンバーそれぞれの言葉で述べられているが、そうした言葉の裏にある悔しさや成長への貪欲さ、あるいは表現に対する高い意識や現状への客観的な視点もまた、“大いなる可能性”に他ならない。
ゆえに、その後の数ヶ月でさらなる進化が見られたのだ。5月に行われた主催イベント『感染フェス』や書庫りり子生誕祭『春の余韻に灰をかけ』などを目撃したのだが、それらのライブは初期のそれとは一線を画すものだった。当初は、目まぐるしい展開の楽曲にその実態を掴み切れないまま何とか付いていこうともがいていた感があったが(その歪さも一つの魅力だったが)、今では複雑な楽曲を能動的に咀嚼し、各々の個性を生かした筆致で表現し、さらにはそれを聴衆へと懸命に届けようとしている印象なのだ。その表現はまだまだ完成されたわけではないが、彼女たちが“攻め”に転じていることは確かだ。
サウンド・プロデューサーであるマモルがその才能を遺憾なく発揮する楽曲。そこに精度の高いパフォーマンスと聴衆へと届けようとする想い、さらには彩り豊かな6つの個性が加わると、それはもう最強である。それらが揃い、高い次元で融合すれば、並み居る新鋭アイドル群の中から頭一つ抜け出すことになるだろう。そんな輝かしい未来を感じさせるのが今の染脳ミームである。
染脳ミームの6人、おきんとん、夏目鳳石、+あむ+、乃依ねお、糸飴キセ、書庫りり子にお話を伺った。
自分の色を大切にしようって思い始めました(おきんとん)
――新体制になって3ヶ月ぐらい経ったでしょうか。今どんな感じですか?
+あむ+(以下:あむ):やっと安定してきたかなって感じです。最初は少しよそよそしかったですね。まあ、仲は良かったんですけど。ライブとかやっていくうちにだんだん固まってきたのかなって思います。
書庫りり子(以下:書庫):そうですね。私は途中から入ったメンバーなんですが、以前に比べてみんな打ち解けてきて、すごく話せるようになりましたし、パフォーマンス面でもみんなの“立ち位置”が決まってきてるんじゃないかなと思います。この6人はすごいバランスがいいですね。
――“立ち位置”っていうのは、役割とか個性とか、そういった意味ですか?
書庫:そうですね。個性の出し方というか…。みんなバラけているので、そういうところも強みだと思います。
おきんとん:私はバランスがよく取れてるなって思います。ハハハ(笑)。
――いい笑顔ですね(笑)。ねおさん、いかがですか?
乃依ねお(以下:乃依):最初は「打ち解けられるのかな?」って不安でした…。
――不安だったんですね。
乃依:声とか。歌声とか合うのかな、って。
――声が合うか、ですか?
乃依:はい。不安だったんですけど、3ヶ月ぐらいやってみて今はいい感じですね。一人一人キャラクターも立ってきて、個性があるなって思います。とてもいいです。
――声も合ってきたわけですね?
乃依:そうですね。
――では、キセさん。
糸飴キセ(以下:糸飴):私はこの中でも一番人見知りで、日々ちょっと辛かったんですけど、みんな優しくて今は楽しいです。
――最初は辛かったんですか?
糸飴:辛いというか…(笑)。「あー、ちゃんとしなきゃな」って自分で思ってたんですが、今は楽しいっていう感情でいっぱいです。
――前回取材した時も、メンバーのことを「最初はちょっと怖いかなと思った」とおっしゃってましたよね?
糸飴:はい。
――でも、すぐに大丈夫になった、と。
糸飴:はい。
――夏目さんはいかがですか?
夏目:はい。みんなが言ってるように、ようやく安定してきたかなって。お披露目まであまり時間がなくて練習もあまりできなかったので不安でした。初期の4人の期間が長かったし、6人でやるのも久々すぎて…。でも、ライブを重ねていくうちに、みんなが言ってるとおり、立ち位置とかそれぞれの色が確立されてきたように思います。お互いがお互いを刺激し合いながらちゃんと色を出してるなって思いますね。なので、今はすごく安定してて、さらに高め合っていける感じで、とても楽しいです。
――個性が確立したとのことですが、具体的にパフォーマンスなども変わりました?
夏目:そうですね…。だんだんみんなのことがわかってきて、それに伴って自分の役割もわかってきて、「自分ばっかり突っ走っちゃダメだ」と思うようになり…。自分だけじゃなくて他のメンバーも含めて「こういうところがいいんだ」「こういうとこがまだなんだ」とか「じゃあそれをどうしていこうか」っていうのが以前よりわかりやすくなった感じですね。
――これまでは「自分を出すことで精いっぱい」だったのが、今は他のメンバーともバランスを取りながらそれぞれの魅力を打ち出していく、みたいな。
夏目:なんかそんな「私がやってる」って感じじゃないですけど…。「どの目線だよ」って感じなんですけど(笑)。でも個人としてもグループとしても成長してるのがわかるんです、すごく。それが嬉しいです。
――他の皆さんはいかがですか?
糸飴:やっぱり最初は踊るだけで精いっぱいだったんですけど、最近は自分たちのライブ動画や他のアイドルさんを見て研究して、「こういう時はこうしなきゃ」とか考えながらやるようになりました。
――客観的な視点が出てきた感じですね。
糸飴:はい。
――ねおさんは?
乃依:私はダンスが特に苦手で。歌も苦手なんですけど…。とりあえずみんなについていくので必死だったんすが、最近になってやっとダンスの楽しさがわかるようになりました。もっといっぱい練習して、もっと上手くなりたいなっていう向上心が出てきましたね。
――いつも楽しそうに踊られてますよね。
乃依:あ、ありがとうございます。
――おきんとんさん、いかがですか?
おきんとん:変わったこと???
――はい。
おきんとん:なんだろう。気持ち。いつも違うから…。でも、ライブがすごい楽しいなって思えるようになりました。
――おきんとんさんも楽しそうにライブしてますよね。
おきんとん:ホントですか?(笑)
――はい。楽しくなってきたんですね。ステージでは自分を出せていますか?
おきんとん:まだ出し切れてないところもあると思うんですけど…。自分の色を大切にしようって思い始めました。
――いいですね。では、書庫さん。
書庫:そうですね。最初のお披露目の時、お披露目までの練習期間が短くて、その期間で「既存曲+新曲」を覚えなければいけなかったので、結構タイトだったんですよ。なので、その時はもうダンスも「覚えて踊る」って感じになってて。個人的には見せるべきところで見せられてなかったというか…。ただ踊るだけみたいになっちゃってたんです。今は、いろんなライブをやって、自分たちの動画も見て、「私ここが見せ場だからやったろう!」とか、「ここは夏目のとこだからちょっと引いておこう」みたいな、そういうことを考えるようになりました。
――では、あむさん。
あむ:お披露目の時は、4人から6人になるのでとりあえず振りを覚えるので必死で…。でも、ライブをたくさんやっていくうちにどんどん楽しくなってきて、ライブ中にメンバー同士でアイコンタクトを取ったり、ふざけたりとかも出来るようになったのが楽しいです。自己紹介とかもみんなで一緒に考えて…。一緒に考えてやるってことが増えたので、それがすごい嬉しい!
――旧メンバーでのライブに比べて、あと、お披露目の時に比べても、最近のライブは変わりましたよね。皆さんおっしゃったように、最初はやはり難しい楽曲をなんとかやってたみたいな感じがありました。まあ、そこに面白さもあったんですが…。でも、今はホントに一体感がありますし、オーディエンスに「届けよう」とする気持ちがすごく感じられたんです。例えば、ライブで客席に入って歌うこともあるじゃないですか。あれなんて、まさに「お客さんに届けよう」という気持ちが出た行動のように思えます。あれっていつもやってるんですか?
夏目:あれは、4人だった時にたまたま。ホントにお客さんが少なかったライブがあったんですよ。ステージが低かったので「もういったれ!」って思って、客席に入っていったら、結構感触が良かったんですよね。例えば、初めて観る人にとっては「遠くで観てたものがいきなり来てくれた」みたいな感じで、喜んでくれたんです。そういうのも“新たな感染方法”なのかな?って思って。
――“新たな感染方法”なんですね。「お客さん増えがてきたな」とか感じますか?「新しい顔が増えたな」とか…。
乃依:一番最初の6人の時に来てくれてたお客さんが、4人になったら減ってしまったんですよね。もちろん来てくれてる方はいて、それでなんとか頑張ってたんですが、でも、新たに好きになってくれる人もだんだん増えて。最近私たち主催のフェスをやったんですが、その時がすごい濃かったんですよ。たくさん来てくれて!昔来てくれてた人にも久々に会えましたし、そこで新しく友だち呼んでくれたりとかする人いて、毎回ライブにも来てくれる人も増えて…。なんか“キテるな感”はあります(笑)。
染脳ミーム ライブ情報
『集団感染 vol.3』
日時:2019.06.08(土)open 17:30/start 18:00
会場:渋谷O-nest
チケット:ADV ¥3,000+1D /DOOR ¥3,500+1D
出演:染脳ミーム/MIGMA SHELTER/グーグールル/nuance
染脳ミーム 商品情報
『Epidemic』
【CD】KNSN-001 1,944円(税込)
【収録曲】
01.千のmeme
02.パンデミックジェネレーション
03.感染地帯確定
04.行く
05.感染天使
06.薔薇の棘、スカート破れた
※Spotify、Amazon Music、LINE MUSICをはじめ各種サブスクリプションにて配信中。