Speak emo
PassCodeって挑戦し続けるグループじゃないと駄目だと思っているので
PassCodeのメジャー第2弾アルバム『CLARITY』が凄い。
リリース直後から大きな反響を得て、オリコンやBillboard JAPANといったチャートで自己最高位を更新したこともさることながら、その作品としての中身が“強い”のだ。
2017年8月にリリースされたメジャー第1弾『ZENITH』は“振り切った”アルバムだった。「ラウド・ロック」「シャウト」といったPassCodeを象徴する特性を前面に打ち出し、それまでに築き上げてきたPassCodeサウンドの究極形を力強く誇示するものとなった。そして、2018年2月にはインディーズ時代の楽曲を再構築したアルバム『Locus』をリリースし、そこに収録された唯一の新曲「PARALLEL」でキャッチーかつメロディアスな方向性を提示。同年5月にはそうした路線を推し進めたシングル「Ray」を、9月にはメロディアスとラウドが同居する両A面シングル「Tonight/Taking you out」を世に問い、2019年4月には最新アルバム『CLARITY』をリリース。「Ray」路線の親しみやすいナンバーを軸に、『ZENITH』で示したハードコアなPassCodeやさらなる新機軸をも展開し、多種多様な間口の広いサウンドを築き上げている。
SNSで多種多様な価値観が共有される昨今。そこでは万人へと向けた中庸な表現よりもいずれかの方向へと振り切った表現が支持される。そんな中、まさに“振り切った”『ZENITH』の後に、極めてキャッチーなアルバムをリリースしたPassCode。ある意味これはリスクを伴う選択だっただろう。『ZENITH』で提示した強靭なサウンドが軟化し、より広い聴衆へと向けて薄味となるのではないか…。だが、それは杞憂に終わった。
ハードコアなPassCodeが炸裂するもどこか抜けの良いサウンドが印象的な「PROJECTION」。享楽的なダンスサウンドを繰り広げる「DIVE INTO THE LIGHT」。痛快なファンクビートと高速スラッシュサウンドが交錯する「4」。目まぐるしい展開とヘヴィなビートという従来のPassCodeサウンドに陽性の解放感が加わった「THE DAY WITH NOTHING」。切々としたトーンで綴られる叙情的ミディアム・バラード「horoscope」。実に多彩な表現をものにしているが、いずれもそこに生々しい情感が滲んでいる。鋼の甲冑を装備した頑強なロボットのごとき『ZENITH』に対し、それを纏いながら数々の闘いに挑んできたことで強靭な精神を肉体を獲得した生身の人間のような『CLARITY』。生々しいゆえに弱さや優しさも垣間見え、それゆえに一層強くなった印象だ。PassCodeを定義した『ZENITH』に対し、「PassCodeの未来を照らす光」とメンバー自身が描写するこの新作はグループの果てしない可能性をもたらすものとなった。『CLARITY』という一歩を踏み出したことで、今後はあらゆる方向へと進むことが可能。そんな解放感に満ち満ちている。
大上陽奈子、高嶋楓、南菜生、今田夢菜の4人にお話を伺った。Speak emoには初登場となるが、筆者自身は4度目となるインタビュー。今回は少し趣向を変え、メンバー個別にインタビューを行なった。その分、アルバムに対する想いをじっくり聞くことができた。ご一読いただきたい。
軸から外れたんじゃなくて、軸がだんだん太くなってきてるみたいな
――最初に取材させていただいた際、ちょうどメジャーデビューして『ZENITH』が出る頃だったんですが、その時のグループの状態についてお伺いしたら、大上さんは「パズルがぴたっとハマったような」とおっしゃっていました。そのパズルは今もぴったりハマってますか?
大上:そうですね。ハマってると思います。でも、新しい形を模索してる感じもありますかね。
――まあ、いろんな“壁”を乗り越えてこられたので、時には少し揺らぐこともあるんじゃないでしょうか。ちょっと主張がぶつかったりとか、それこそ喧嘩したりとか、そういうことはないですか?
大上:喧嘩はないですかね。ぶつかったりとかもあんまりないです。
――以前『Locus』がリリースされる頃に「今後どういうふうな方向性で行きたいですか?」といったことをお聞きしたら、皆さんそれぞれ違ってたんです。大上さんはどういう言われたか覚えてますか?
大上:なんて言ったんやろう…?
――『Locus』の中の新曲「PARALLEL」で新しい方向性が示され、さらに新曲「Ray」を作られている頃でした。
大上:覚えてないです。どう思ってたやろう、その頃…。
――「PARALLEL」とか、その後リリースされる「Ray」のような「間口の広いものをやっていって、どんどん広めていきたい」といったことをおっしゃっていました。
大上:あぁ、言ってました。「Ray」が発売された後って、自分の周りの人からの評価がすごく高くて。例えば友だちとか、親戚とかお母さんからも好評でした。あと、高校の時の先生からも「『Ray』聴きやすいね」って。あと、(トルツメ)カラオケで歌えるのがやっぱり強いなと思いました。日本語だしメロディも入ってきやすくて。で、「Ray」でいいなって思ってくれた人たちが、その後の「Tonight」とかもちゃんと聴いてくれたりしたので、やっぱりそういった馴染みやすい曲もたまに必要なのかなって感じましたね。
――「PARALLEL」が『ZENITH』とはまたかなり違った印象で、そこで示された新たな方向性の中で「Ray」がリリースされ、今作に繋がっている感じがしました。そういった方向性って、プロデューサーの平地(孝次)さんと、あるいはメンバー間で話し合ったりしましたか?
大上:「アルバムはこういう感じでいこう」っていうのは、平地さんが考えてくれました。でも、南とかは「horoscope」に関して「こういう曲を作って欲しい」って依頼したみたいです。
――アルバムのレコーディングはどんな感じだったんですか?
大上:レコーディングは、ひとことで言ったら怒涛でした。PassCodeはこれまでも短い期間の中で制作することが多かったんですけど、今回はその中でも一番ぐらいのタイトさでしたね。前日に仮歌が届いたものとか2曲ぐらいありました。
――そんな感じだったんですね。
大上:正直大変と思いました。その時は。
――でも、メジャーっぽいですね。スケジュールが決まっていて、それに向けてダァーッと作るみたいな。
大上:あと英語の曲が多いので、「これ1日や2日で覚えれるんかな?」って思ってました。
――英語の歌詞を覚える時は、意味もしっかり理解されるわけですか?
大上:今回のアルバムでは、訳詞も送ってきてくれて、それを見て理解しました。
――英語の勉強にもなったわけですね。
大上:そうですね。発音はだんだん洗練されてきてるんじゃないかなって思います。
――海外にも行かないといけないわけですから。
大上:最近海外のお客さんもたくさん聴いてくれているみたいなので、英語の発音も磨いていかないと、と思いますね。
――で、アルバムです。変わりましたよね。
大上:やはりそう感じますか。
――はい。大上さんとしてはどう感じていますか?
大上:私も変わったと思います。個人的にはこっちの方が好みです(笑)。いろんなジャンルが聴きたい人間なので。『ZENITH』に収録されている“ザ・PassCode”みたいな曲が好きな方もいっぱいいると思うんですが、「horoscope」や「WILL」のような曲が入ってくることによっていろんなPassCodeが見せられると思います。平地さんの書く曲って、激しくて重たいサウンドがすごいカッコ良くて、そういう点が評価されがちだと思うんですが、実はミドルテンポの曲とかゆっくりめな曲もすごくいいんですよね。『CLARITY』を聴けばそれが分かるんじゃないかなと思います。
――平地さんは王道系のアイドルにも曲を書かれたりしていますし、以前のPassCodeにはアイドルっぽい曲やポップな曲もあります。そもそも平地さんって、久石譲さんから多大な影響を受けたともおっしゃっていますし。本当にいろんな曲やサウンドを作られるんですよね。ところで、先ほど「『ZENITH』はザ・PassCode」とおっしゃいましたが、今作『CLARITY』はそこにバリエーションを付けたという感じでしょうか?
大上:『ZENITH』では、PassCodeの“軸”を固めたと思っていて…。で、今回もあんまり変わったことをしたとは思ってないんですよね。まぁ、ちょっと先に進んだかなという感じですかね。軸から外れたんじゃなくて、軸がだんだん太くなってきてるみたいな。決して別の場所に行ってるわけではないと思います。これはこれでPassCodeだなと思いますし。
――以前もいろんなスタイルの曲をやっていましたが、前作『ZENITH』はある意味ひとつの“塊”みたいな作品となった印象でした。この『CLARITY』はあくまでその延長線上にあるとは思うんですが、バリエーションが増えた感はありますよね。例えば、歌の表現などで意識して変えた部分はありますか?
大上:歌も変わってると思います。とりあえず音程が高いんですよ。仮歌では平地さんが歌ってくれてるんですけど、裏声で出ちゃうんです。出ちゃうから「ここまで行けるわ」ってどんどん歌に盛り込んでくるんですけど、それが高いんですよね。
――前もおっしゃってましたけど、平地さんの仮歌を越えるべく頑張って歌ってらっしゃるんですよね。仮歌と本番って、キーは違うんですか?それとも同じ???
大上:同じなんです。
――男女で同じキーなんですね。
大上:そうなんです。同じキーで出ちゃうんですよ。
――すごいですね。裏声とかを使ってってことですか?
大上:そうです。裏声なんですけど。でも私たちが歌う時は地声を求めてくるんです。「これ、地声で出るんかな…」って私が言ったら、「いける!PassCodeに無理はない!」みたいに言ってきて(笑)。
――体育会系ですね。裏声に逃げられないわけですね。
大上:逃げられなくて…。気合で出すんです。
――なるほど。オートチューンの部分もだいぶ減りましたよね。
大上:メンバーの個性がより分かるようになりましたよね。
――それに生っぽさが出てる感じがします。
大上:それはすごく思います。楽器に関していえば、いつもライブでもギターを弾いてくれてるYoichi君っていうメンバーがいるんですが、Yoichi君が平地さんと一緒に作曲合宿をしたんですよ。そこでギターのメロディラインとかいろいろと一緒に考えて作っていったみたいで。そういうのもあったから、生っぽさが出てるのかもしれないですね。その場その場で作っていったらしいので。
――ところで、Twitterで「めちゃくちゃ好きな曲がある」って呟かれていましたが…。
大上:「horoscope」です。仮歌を聴いて涙が出たんです(笑)。初めてのことでした。今までそんなことなかったです。歌を聴いて感動することは結構あるんですが、涙が出るところまで響く曲って今までそんなになくて…。だからこの曲は大切にしたいなって思います。
――ましてや自分たちの曲で涙するわけですから、特別ですよね。
大上:そうなんです。自分たちの曲でそんな曲に出会えたって言うのがすごいうれしいです。
――どういうところがお気に入りですか?
大上:自然と涙が出てきます。あと、もともとピアノが入ってるサウンドがすごく好きなので、ピアノが盛り込まれているところも。平地さんもだんだん追加していったみたいで。ピアノとか管楽器系とか。最終的にあんな感じに仕上がりました。
――他はどうですか?ファンクっぽい曲もありますよね。「4」とか。
大上:「4」も好きです。
――これなんて言葉の載せ方とかがすごくおもしろいですよね。
大上:「4」は一番いろんな歌い方を試した曲かもしれないですね。「無機質に」とか「感情ない感じで」みたいに歌ってみたりもしました。
――では、改めてアルバムの聴きどころは?
大上:聴きどころは…。まずは曲順どおりに聴いていただいて、そのあとにシャッフルでめっちゃ聴いて欲しいな、と。いろんなジャンルが入ってるからこそ、シャッフルで聴いたら「あ、次これ来た」っていう落差があると思うので、楽しいんじゃないかなって思います。
――そのご意見、面白いですね。今はサブスク時代を迎えていて、「アルバムで聴く」っていう概念が希薄になってきていて…。それに対応した作り方をしてるアーティストもいたりしますよね。そういう意味では、『CLARITY』はアルバムとしても聴けるけど、シャッフルで聴くのもまた面白い、と。
大上:でも、最初は曲順どおりに聴いていただきたいですけどね。
PassCode 商品情報
PassCode メジャー2ndアルバム『CLARITY』
発売日:2019年4月3日
初回限定盤【CD+「CLARITY」ダウンロード・ストリーミングアクセスコード付カード】
価格:3704円(税抜)+税
品番:UICZ-9113
https://store.universal-music.co.jp/product/uicz9113/
通常盤【CD】
価格:2778円(税抜)+税
品番:UICZ-4446
https://store.universal-music.co.jp/product/uicz4446/
01. PROJECTION
02. DIVE INTO THE LIGHT
03. Ray
04. 4
05. Taking you out
06. THE DAY WITH NOTHING
07. horoscope
08. It’s you
09. In the Rain
10. TRICKSTER
11. Tonight
12. WILL
-Bonus Track-
13. 一か八か
[CLARITY初回限定盤付属ダウンロード・ストリーミングアクセスサイトコンテンツ] 映像
・Ray -Music Video-
・Ray -Music Video Behind The Scene-
・Taking you out -Music Video-
・Tonight -Music Video-
・Taking you out/Tonight -Music Video Behind The Scene-
他、後日追加コンテンツ公開予定
音源
・Opening -Taking you out TONIGHT! Tour 2018-
・DMM.com 20th半額キャンペーン#1[NoNarration] ・DMM.com 20th半額キャンペーン#2[NoNarration]
壁紙
・最新A写スマホ/PC用壁紙各種
*ダウンロード/ストリーミング期限 : 2019年12月31日(火)23:59まで
*作品内容は予告無く変更になることがございます。予めご了承ください。