Speak emo

2020.07.17
天野なつ

天野なつ|自分でやるのは大変なんですけど、それだけ結果がダイレクトに来るのが楽しいなって思います

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九州を拠点に活動するLinQの2代目リーダーを努め、2018年に同グループを卒業すると、ほどなくソロ活動を始めた天野なつ。約2年のソロ活動を経て、6月17日遂にフルアルバム『Across The Great Divide』をリリースした。

 

博多のParks Recordsを主宰する松尾宗能をプロデューサーに、作曲には松尾をはじめ、長瀬五郎(インスタントシトロン)、関美彦、小川タカシ(カンバス)らが名を連ね、作詞は天野本人やスセンジーナらが手掛ける。バックには、かの沖山優司がベースで、“博多のラトルズ”とゴーグルズ・のセシル・ゴーグルがギターで、ELEKIBASSやカンバス、アナなどで活躍する植木晴彦、福岡を拠点とするバンド“COLTECO”の太田洋平がキーボードで、同じく福岡を拠点とするノントロッポのチャン・スカイウォーカーがドラムスで、元LinQの深瀬智聖と一ノ瀬みくによるCHiSEMiKUがコーラスで参加。さらにはミックス及びマスタリングをマイクロスターの佐藤清喜が手掛けている。福岡と東京を結ぶ“グッドミュージック・コネクション”がその本領を発揮し、極上のナイスサウンドを構築しているのだ。

 

そこに聴こえるのは、平たく言えば“ヴィンテージ・サウンド”と呼ばれるもの。モータウンやニュー・ソウル、ソフト・ロックにシティ・ポップ、そしてサイケデリックやラテン・ロック。さらに細部に耳を傾ければ、マーヴィン・ゲイ風グルーヴやビートルズ風ギターソロ、ザ・バーズ風12弦ギターサウンドやウエストコーストロック風アルペジオなど、音楽好きを唸らせる音の意匠が随所に聴こえてくるだろう。

 

こうしたサウンドが、「大人の趣味に付き合わされる純粋無垢な女の子」という構図によって作られる“ガールポップ”に引用されることは珍しくない。むしろ、歌謡曲の時代から、こうした試みは幾度と繰り返され、安易にコピペのできる昨今では粗製濫造の様相を呈していると言えるかもしれない。

 

だが、ここまで巧みに鮮やかに作り上げてくれれば文句はないだろう。このヴィンテージ・サウンドが凡百の“ガールポップ”と一線を画しているのは、そこに、R&Bに憧れた60年代のモッズや、モータウンなどのソウルを熱心に掘っていたノーザン・ソウルのDJたち、あるいは、誰も知らない名盤を我先に掘り当てようとしたレア・グルーヴや渋谷系の体現者たちが有していたような、いにしえのサウンドへの敬意と愛が宿っているからではないだろうか。

 

だが、本アルバムを現代ガールポップの傑作らたしめている真の原動力は、他ならぬ天野なつの歌声である。伸びやかで強度もあり、その一方で愛らしさや仄かな儚さや切なさもたたえた、実に心地好い歌声。“大人の期待”に存分に応えるのみならず、そうした“大人の思惑”を凌駕し、制作陣の予想を軽く越えているであろう眩いばかりの輝きをこのサウンドに与えているのだ。

 

天野なつがこうした歌声を獲得したのは、インタビュー本文でも述べられているとおり、様々な困難を乗り越えてきたからだ。入院。休業。卒業。上京。こうした“大きな山”は、彼女に表現の幅や深みをもたらしたのみならず、「Restart」や「うたかたの日々」などの歌詞を生み、さらに言えばこのアルバムを最良の形で結実させたのだ。彼女の発する言葉や声に説得力が宿っているのも、そうした“Great Divide”を越えてきたからに違いない。そんな彼女の歌声は、まだまだ難局に直面している世の中に一筋の希望の光をもたらすことだろう。

 

天野なつに、これまで乗り越えてきた“Great Divide”について、そしてアルバム『Across The Great Divide』について話を伺った。

 

 

LinQで芸能活動を終えるつもりだったんですよ

 

――2018年の6月にLinQを卒業されて、結構すぐにソロ活動に移行されたんですよね?

 

天野なつ(以下:天野):そうですね。まぁ正式なデビューは9月末なので、3ヶ月ぐらい空いていますが…。

 

――そこに至るまでには色々あったんですよね? ここでは深くは掘り下げませんが、2016年末に「解体・再開発プロジェクト」って、なんか駅前みたいなことが発表されて、グループが再編されたりしたんですよね?

 

天野: アハハ(笑)。それがあって、私も膝を怪我をして…。

 

――しばらく入院されてたんですよね。

 

天野: はい、そうなんです。

 

――大変でしたね。

 

天野: いろいろありましたね~、あの年は…。

 

――そういうことがあって、でも、こうやって素晴らしいソロアルバムを出すまでになったわけじゃないですか。今率直にいかがですか?

 

天野: う~ん、でも、本当にソロ活動をしようと決めたのは、割と卒業する直前で、それまで私はLinQで芸能活動を終えるつもりだったんですよ。卒業後も、例えば女優がしたいとか、シンガーなりたいとか、そういうのは本当になくて。リーダーとしてLinQをやってきてきて、それで終わろうって思ってたんですけど、ひょんなことからバイト先で出会ったんですよね…。

 

――え? 松尾宗能さんに?

 

天野: はい、そうなんです。その休業中に。

 

――あぁ、入院などもあって、LinQ卒業までおよそ一年間休業されてたんですよね。

 

天野: はい。で、私も仕事がなかったので、バイトしなきゃって思って、六本松蔦屋書店でバイトを始めたんですよ。「何でそんなバレるとこでしたの?」ってみんなから言われたんですけど(笑)。

 

――絶対気づかれる場所じゃないですか。

 

天野: 私、もともと映画が好きで、六本松蔦屋をうろうろするのが大好きだったんですよ。で、働いてみようかなって思って働き出して、そしたら松尾さんに出会って、声掛けられて。最初、ソロはちょっと自信ないなって思ってたんですよね。一人で喋るのがあんまり好きじゃなかったので。

 

――めっちゃしっかり喋られてる印象がありますが…。

 

天野: 実は、ステージでのMCとかあまり好きじゃなくて。喋るのが楽しいなって思えるようになったのは、ソロになってからですね。それまでは、リーダーだったのもあるし、下手なこと言えないなと思って結構プレッシャーだったんですよ。ステージに立つことは好きだったんですけど。で、ソロできるかなってずっと思ってたんですが、IQプロジェクトっていう、うちの事務所のメンバーたちがLinQ卒業後も色んな活動をやっているのを見て、私もまだ芸能の仕事を辞めたくないなっていう気持ちが芽生えてきて、で、やってみようっていう…。どうなるか分かんないけどやってみようっていう気持ちで始めました。

 

――松尾さんと出会った時って、松尾さんが声掛けてきたんですか? 「LinQの方ですか?」みたいな感じで…。

 

天野: 蔦屋のバイトで、最初オリエンテーションみたいなのがあったんですよ。一人ずつ意気込みみたいなのを言うやつで、そこに松尾さんもいたんですが、私が意気込みを言った時に気づいたらしくて。「あれ? 天野なつじゃない?」みたいに。

 

――松尾さんもそこで働いてたんですか???

 

天野: そうです。松尾さんは“コンシェルジュ”をやってます。“音楽コンシェルジュ”。

 

――その肩書は見たことがありますが、外部のアドバイザー的な人なのかなと思っていました…。

 

天野: レジとか一緒にしたこともありますよ。

 

――そうなんですね。

 

天野: ブック担当とか、文房具担当とか、レンタル担当とかいろいろあるんですけど、私、松尾さんと一緒だったんです。

 

――ガッツリ働かれてるんですね。

 

天野: 週5ぐらいでフルタイムで働いてます。

 

――それって書いていいんですか?(笑)

 

天野: 全然。松尾さんは蔦屋にバリバリいるので。結構、松尾さんのファンというか、そういう人とかもよく来られるんです。

 

――松尾さん、いろいろ暗躍してますね、色んなところで(笑)。僕は正式にご挨拶したことはないんですけど…。

 

天野: 確かラジオとかもやられてますし。

 

――松尾さんとバイト先で出会ったのは……その時ってもう卒業を決めるかどうかって頃ですか?

 

天野: だいぶ固まってきたぐらいですかね。2017年の暮れぐらいです。

 

――明けて1月に卒業を発表した、みたいな感じでしたっけ。

 

天野: そうですね。

 

――その頃からもう準備は始めていたってお聞きしたんですが、LinQ卒業とソロ始動を決意をしてから楽曲を作ったりとかしたんですか?

 

天野: 1枚目のシングルに収録されていた3曲「Open My Eyes」「Secret703」「Restart」は、卒業前にレコーディングしました。

 

 

取材・文
石川真男

天野なつ イベント情報

〈リリースイベント〉
7/18(土)18:00 @HMVエソラ池袋 リリースイベント(特典会のみ)
7/26(日)①13:00 ②17:00   リリースイベント
7/30(木)19:00     リリースイベント
7/31(金)18:30     リリースイベント

8/16まで随時リリースイベント開催予定

〈ライブ情報〉
公演名:「 AMANO NATSU BIRTHDAY LIVE 」from TOKYO
東京会場:下北沢CLUB251
出 演: 天野なつ
8月20日(木) OPEN19:00 START19:30  
チケット:3000円+1D     
https://tiget.net/events/97303  

公演名:「 AMANO NATSU BIRTHDAY LIVE 」from FUKUOKA
福岡会場:   The Voodoo Lounge  
出 演:  天野なつ ゲスト:CHiSEMiKU
8月29日(土) OPEN14:30   START15:00
チケット:3000円+1D     
https://tiget.net/events/97309  

天野なつ 商品情報

 

「Across The Great Divide」 

 

天野なつ

通常盤 
IQP-302 ¥3,000(税込) 
 

 

 

天野なつ

「Across The Great Divide」 
初回限定スペシャルパッケージ 
IQP-303 ¥4,500(税込) 天野なつ監修 限定フォトブック24P付き 
 

【収録曲】 
1.midnight     
作詞:天野なつ 作・編曲:長瀬五郎

2.恋してbaby!    
作詞:スセンジーナ 作・編曲:松尾宗能 コーラス:CHiSEMiKU 

3.カレーライス  
作詞:天野なつ 作曲:関美彦 編曲:関美彦・松尾宗能 

4.うたかたの日々 
作詞:天野なつ・松尾宗能 作曲:関美彦 編曲:Spencer 

5.Positive life   
作詞:小川タカシ 作・編曲:小川タカシ 

6.気まぐれなcall      
作詞:スセンジーナ 作曲:松尾宗能 編曲:Spencer

7.Secret703                
作詞:スセンジーナ 作・編曲:松尾宗能 

8.true love                  
作詞:スセンジーナ 作曲:松尾宗能 編曲:Spencer コーラス:CHiSEMiKU

9.Open My Eyes          
作詞:天野なつ 作・編曲:松尾宗能

10.Restart                   
作詞:天野なつ 作・編曲:松尾宗能 

PROFILE

PROFILE
天野なつ

2018年6月に九州発アイドルグループ「LinQ」(2代目リーダー)卒業後、
ソロシンガーとしても活躍しつつ、舞台女優としても活動!新たな境地を切り開く!
楽曲は60'sモッド・R&B~70'sソウルの熱さと、ビンテージロックの香り漂うロマンチックな
ガールポップをイナたいバンドサウンドに乗せてお送りします。

その他関連サイト: ファンクラブ